1998 Fiscal Year Annual Research Report
澱粉の種固有な機能と分子構造の成因-生合成酵素の種固有性を探る
Project/Area Number |
10660130
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹田 靖史 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40041644)
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Keywords | 澱粉 / 澱粉粒結合型澱粉合成酵素 / GBSS / アミロペクチン / アミロース / アミロース含量 / 澱粉生合成酵素 |
Research Abstract |
澱粉の種固有な機能と分子構造の成因を探るために、さらにオオムギ澱粉の分子構造と機能性を精査するとともに、5種の植物、21品種の粒結合型澱粉合成酵素(GBSS)量を調べ、次の結果を得た。 1. オオムギの高アミロース種2品種と普通種1品種の澱粉は、アミロース、アミロペクチンともに分子構造が互いに類似すること、またコメ(インディカ)とは異なり真に高アミロース澱粉であることを明確にした。 2. オオムギ4品種、コメ8品種、コムギ4品種、トウモロコシ2品種、サツマイモ3品種の澱粉のGBSSを粒からSDSゲル電気泳動で単離して牛血清アルブミンを標準として定量し、アミロース量との関係を考察した。(1)GBSS量は植物種、品種で大きく異なり、澱粉粒1g当り14から1800μgのGBSSが存在した。また、GBSS1分子が32から2300分子のアミロースを合成したことがわかった。(2)GBSS量とアミロース含量との関係では、GBSS量の増加にともなってアミロース量が増加するオオムギ、トウモロコシと、GBSS量が一定値を越えて増加してもアミロース量が増加しないコメ、コムギ、サツマイモの2つのタイプのあることがわかった。また、GBSS量が最も多いオオムギとコメの品種では、GBSSのN-末端アミノ酸配列がいずれも既知の配列と同じであり、真にGBSSが多いことを確かめた。(3)コメでは、GBSS量とアミロペクチンのヨウ素結合量との間に1次の正の相関関係が認められ、コメGBSSはアミロースを合成するだけでなくアミロペクチンの一部の側鎖を異常に伸長し、アミロース様の長い側鎖をつくることを示唆した。 枝つくり酵素の技つくり作用を調べるために、高アミロースと普通種のオオムギを栽培中である。
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