2001 Fiscal Year Annual Research Report
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10660138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 征夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50012092)
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Keywords | ヤマビル / 生活史 / 個体群変動要因 / 生息環境 / 飼育管理 / ニホンジカ / 防除方法 / 房総半島南東部 |
Research Abstract |
1.ヤマビルの体重測定法として,アルコールを用いたより簡便な体重測定法を開発した。体重測定時におけるヤマビルのハンドリングが非常に簡単になった。また,酸性フクシンによるマーキング方法を開発した。簡便な標本作成法として,100%アルコール液浸標本法を開発した。 2.ヤマビルの給餌法を開発し,ヤマビルの生活史の全容を解明した。最長寿命,脱皮,産卵に伴う環帯部の変色,冬季の脂肪細胞の形態等を解明した。生活史に関わる諸要因については,今後の課題となった。 3.ヤマビルの出現個体数に及ぼす寄主および気象の影響について調査した。出現個体数については寄主のニホンジカを含む大型哺乳類の生息密度が,気象については生息場所の湿度が密接に関係していることが分かった。また,ヤマビルの発生には周期性があるらしいことが示唆された。 4.ヤマビルの生息場所である林床の気象条件を長期データ集録装置で測定した。林冠が閉鎖されている林分では,林床の気温は夏は外気より低く,冬は高く,夏や冬の渇水期でもヤマビルの生存,採餌行動等に支障のない環境下にあることが解明された。 5.千葉県産ヤマビルの生態的特性を解明するため,秋田県五城目町,新潟県佐渡島,神奈川県津久井町,静岡県川根町,鹿児島県屋久島,沖縄県石垣島・西表島で生息調査と採集を行った。体の大きさや体色には地域差があったが,摂取血液量には大きな差がなかった。 6.ヤマビルの防除対策として,食塩水に浸した布等を利用した簡便な防除法を開発した。また,採餌行動時におけるヤマビルの移動速度を解明した。しかし,ヤマビルの捕獲技術を開発するための基礎実験として,二酸化炭素による誘引実験は十分に出来ず,今後の課題となった。 7.本研究課題「ヤマビルの発生予測と防除方法に関する基礎的研究」のとりまとめを行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山中征夫: "ヤマビルの給餌法"日本林学会論文集. 109回. 403-406 (1998)
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[Publications] 山中征夫: "ヤマビルの吸血によるヒトの血液被害量"日本林学会大会学術講演集. 110回. 714-715 (1999)
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[Publications] 山中征夫: "ヤマビルの寿命"日本林学会大会学術講演集. 111回. 332-333 (2000)
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[Publications] 山中征夫: "千葉県, 秋田県, 屋久島, 西表島産ヤマビルの摂取血液量の比較"日本林学会大会学術講演集. 112回. 333-334 (2001)
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[Publications] 山中征夫: "簡便なヤマビルの防除法"日本林学会関東支部大会発表論文集. 53回(印刷中).
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[Publications] 山中征夫: "ヤマビルの出現個体数に及ぼす気象の影響"日本林学会大会学術講演集. 113回(発表予定). (2002)