1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660148
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富樫 一巳 広島大学, 総合科学部, 教授 (30237060)
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Keywords | 材線虫病 / マツノザイセンチュウ / ニセマツノザイセンチュウ / 共存 / カラフトヒゲナガカミキリ / マツノマダラカミキリ / 温度効果 / 伝播 |
Research Abstract |
弱毒性線虫(ニセマツノザイセンチュウ)の優占地域において,1997年の11月に3本の衰弱木が発生した。これらのマツから1999年にカラフトヒゲナガカミキリが脱出し,その一部は弱毒性線虫を保持していた。1998年には衰弱木は発生しなかった。1999年は5月に1本の衰弱木が発生した。衰弱原因は被圧であった。この衰弱木は弱毒性線虫を有し,媒介昆虫の産卵に利用された。1999年の秋にアカマツの新しい枯死木を調査した。その結果,標高600m以上で弱毒性線虫が,標高600m未満で強毒性線虫が見つかった。4月から8月までの毎月下旬に4本のアカマツに強毒性線虫(マツノザイセンチュウ)を接種した。その結果,アカマツの発病は接種年の8-11月と翌年の4-8月に起こった。発病した10本のマツのうち,接種年に1本のマツが,接種翌年に6本のマツが媒介昆虫に産卵された。これらのマツからカラフトヒゲナガカミキリが脱出し,それらは弱毒性線虫のみを保持していた。異なる年の5月から8月までの毎月下旬に2-3本のアカマツに強毒性線虫(マツノザイセンチュウ)を接種した。その結果,アカマツの発病は接種年の7-9月に起こった。発病した6本のマツのうち,接種年に1本のマツが媒介昆虫に産卵された。媒介昆虫マツノマダラカミキリを16,20および25℃の各温度条件の下で30頭ずつを個体飼育した。その結果,媒介昆虫の寿命は,温度が低くなるにつれて短くなった。また,温度が低いほど,媒介昆虫からからマツへの強毒性線虫伝播数の時間的変化(伝播曲線)のピークの高さが低くなり,また,その出現時期が遅くなった。これらの結果から,強毒性線虫の伝播は低温条件下で阻書されることが示された。
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