1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660150
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
玉泉 幸一郎 九州大学, 農学部, 助教授 (80205062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 明 九州大学, 農学部, 教授 (30253511)
|
Keywords | ヤクタネゴヨウ / 尾久島 / 種子生産 / アイソザイム / 遺伝的分化 |
Research Abstract |
ヤクタネゴヨウの個体数減少の推移と枯死要因を明らかにするために、屋久島破沙岳周辺において4年間(1994〜1998年)モニタリング調査を行った。調査対象とした165個体のうち、20個体の枯死が確認された。枯死の約30%が自然攪乱に起因する土壌崩壊に伴う流出および根返りであった。それ以外の枯死要因については明らかにできなかった。 ヤクタネゴヨウの種子生産特性を明らかにするために、屋久島破沙岳周辺において1995〜1998年に結実調査を行った。調査年における球果の着果率に有意差は認められなかった。また、豊凶について確認できなかった。ヤクタネゴヨウの球果生産は、個体サイズと密接な関係があり、胸高直径30cm以上、樹高10m以上の個体で着果率が高かった。しかし、球果および種子の生産数は他のマツ属樹種と比較して少なかった。これらのことから、ヤクタネゴヨウの種子生産量は非常に少なく、自生地での更新に重要な影響をおよぼしていると考えられた。 屋久島と種子島のヤクタネゴヨウ集団について5酵素種7推定遺伝子座のアイソザイム分析を行い、ヤクタネゴヨウの遺伝的変異について検討した。種内および集団内における平均へテロ接合体率は、それぞれ0.160と0.136であり、裸子植物の平均値より低かった。遺伝子分化係数は0.150であり、本種の全遺伝的変異の15%が集団内に存在し、85%が集団間に起因していた。遺伝的距離をもとにしてクラスター分析を行った結果、集団は「種子島」、「屋久島高平岳、破沙岳」および「屋久島国割岳」の3つに分類された。これらのことから、ヤクタネゴヨウは集団間で大きな遺伝的分化が生じていることが明らかになった。
|