1998 Fiscal Year Annual Research Report
調湿性能を異にする複数の材料で内装された室空間の調湿効果の予測
Project/Area Number |
10660157
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大釜 敏正 千葉大学, 教育学部, 教授 (60093209)
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Keywords | 温度 / 相対湿度 / 調湿 / 木材 / 内装材料 |
Research Abstract |
本研究は、複数の材料で内装された空間の材料による調湿効果を予測する方法を実験的に検討することを目的としている。調湿効果の指標には、相対湿度の対数と温度の関係を値線で近似したときの勾配(B値と定義)を用いた。B値は材料の吸放湿が効率よく行われ、相対湿度の変動がない理想的な場合には0℃-1の値をとり、吸放湿性能の全くない材料で囲まれた空間では-0.0255℃-1となる。 実験は、20cm×20cm×30cmの鋼製の箱を用いて、まず、(1)調湿性能の優劣を考慮して選んだ主要な建築内装材料のB値に及ぼす気積率(空間の気積に対する内装面積の割合)と温度変化の周期の影響を調べ、ついで、(2)上記材料が、床、壁及び天井にそれぞれ異なる組み合わせで内装された場合を想定したシミュレーションを行った。温度変化の周期は、6、12及び24時間の3種類とした。 その結果、調湿効果に優れた材料のB値は、気積率の小さい領域では変化が急で、気積率の増加とともに一定値に近づくこと、一方、調湿効果の期待できない材料であっても、温度変化の周期が長く、しかも気積率が大きくなると、調湿効果が発現するすることなどが明らかになった。さらに、複数の材料で内装された空間の材料による調湿効果は、各材料の調湿効果を木材(本研究ではスギ)のそれに換算すると高い精度で予測することができることも明らかとなった。また、24時間周期の結果を基準にとると、短周期の場合には予測値は低くなるが、実用的には安全側の値となると判断されるため、24時間周期における各材料のB値と気積率の関係を求めておけば、任意の材料で内装された空間の材料による調湿効果を予測することができる。 現在、B値と樹種の関係を、人工の調湿材(人造木材)を含めて、実験的に検討を行っている。
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