1998 Fiscal Year Annual Research Report
水分変動環境下で亀裂が発生した構造用木材の残存耐力の破壊力学的予測
Project/Area Number |
10660160
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
祖父江 信夫 静岡大学, 農学部, 教授 (50023495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 清 三重大学, 教育学部, 教授 (80006444)
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Keywords | 木材 / 破壊力学 / き裂 / 水分非定常 |
Research Abstract |
1. き裂材のき裂開口変位CODの時間依存性を検討するため、温・湿度一定条件下における応力緩和実験を行った。応力緩和には負荷レベルの依存性が認められ、これを定量化するために不完全要素を含む一般化されたMaxwellモデル(7要素)を用いて検討した。その結果、バネ定数には明瞭な負荷レベル依存性は認められなかったが、粘性要素の緩和時間には応力レベルがおよそ80%以上の領域で非線形性が現れた。き裂材のクリープ実験は、継続中である。 応力緩和実験の結果に基づき、き裂材の破壊規準について検討した。見かけのき裂開口変位CODを弾性成分と流動成分に分離し、弾性成分のCODが一定値になるときを限界値とする変位規準を適用すると試験速度の依存性がほぼなくなり、特に長時間の負荷や遅い負荷条件の場合の見かけのCODに及ぼす流動の影響を避けることができることが示唆された。ミクロなき裂の進展を示すAE(アコースティックエミッション)の発生は、負荷レベルが10%以下から生じた。 2. 水分非定常状態下において一定荷重が負荷された木材は定常クリープに他に、特有なメカノソープティブ変形を示す。そこで、まずき裂のないクリヤー材によって、自然環境下と乾湿繰り返しによる実験を行った。典型的なメカノソープティブ現象が現れ、湿度の日変化幅めみならず、ときどき現れる変動周期の長い湿度変化の影響が大きいことがわかった。 また、温・湿度の日変動によって試験体の内部の含水率分布が変化し、試験体の変形に影響を及ぼすので、分割法により含水率分布の時間推移を検討し、その数量化を試みている。
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