1999 Fiscal Year Annual Research Report
水分変動環境下で亀裂が発生した構造用木材の残存耐力の破壊力学的予測
Project/Area Number |
10660160
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
祖父江 信夫 静岡大学, 農学部, 教授 (50023495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 清 三重大学, 教育学部, 教授 (80006444)
|
Keywords | 木材 / 破壊力学 / き裂 / クリープ破壊 / 水分定常状態 / 水分非定常状態 |
Research Abstract |
き裂を有する構造用木材について、水分定常状態および水分非定常状態におけるクリープ破壊について検討した。 1.水分定常状態におけるクリープ破壊 ベイツガおよびスギ材(ASTM E399準拠試験体)について検討した。クリープ試験における応力レベルは、静的破壊靱性試験からえられた破壊荷重の45%から85%の間である。試験中のCOD(き裂開口変位)、AE(アコースティックエミッション)、顕微鏡(VTR連動)によるき裂長さの観察、温・湿度を同時計測し、破壊に至るき裂の挙動を明らかにした。応力レベル60%以上では、AEの発生は負荷直後と破壊直前に多く発生し、定常クリープ段階でも少しずつ発生していた。応力レベル60%以下では、定常クリープ段階でのAEの発生は少なく、き裂の進展も観測されないことから、クリープ限度は応力レベル50%以下(定常クリープの段階のAE発生はない)と推定された。き裂の進展は、クリープ時におけるミクロなき裂の発生と破壊直前におけるミクロクラックの合体によって起こると考えられる。 2.水分非定常状態におけるクリープ破壊 スギ材を用いて、自然環境下における水分変動状態のクリープ実験を行った。自然環境下では、低い応力レベル(40%)でも水分定常状態に較べて短時間で破壊に至った。雨天日のように破壊直前に1日以上高湿度の時間が継続すると急速にCODが増加し、破壊に至った。CODは1日周期の変動を示したが、き裂のない木材に見られるようなメカノソープティブクリープの影響は認められず、相対湿度の増加とほぼ同位相で増加した。水分吸収によって木材内部に発生する水分応力がき裂の進展を助長し、破壊を促進したものと考えられる。
|