1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660161
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西田 友昭 静岡大学, 農学部, 教授 (10252165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐司 静岡大学, 農学部, 助教授 (30236921)
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Keywords | 白色腐朽菌 / ポリエチレン生分解 / マンガンペルオキシダーゼ / リグニン生分解 / 合成高分子 |
Research Abstract |
昨年度、高活性・高選択性リグニン分解菌IZU-154株を用いて、ポリエチレン膜の処理を行った結果、リグニン生分解に適している窒素あるいは炭素源を制限した培養条件下で高度な分解が認められ、リグニン生分解に関与する酵素がポリエチレン生分解にも関与している可能性が示唆された。そこで、本年度はポリエチレン生分解酵素系の解明を行った。 窒素源を制限した培養条件下で、リグニン分解菌3菌株(IZU-154株、Phanerochaete chrysosporiumおよびカワラタケ)のポリエチレン分解能を比較した結果、IZU-154株とP.chrysosporiumが同様の分解能を示し、カワラタケは他の2菌株と比べると分解能に劣っていた。その際に、産生されたリグニン分解酵素の活性を測定すると、いずれの菌株もリグニンペルオキシダーゼを産生しておらず、マンガンペルオキシダーゼ(MnP)とラッカーゼを産生していた。そして、ポリエチレン分解能に優れていたIZU-154株とP.chrysosporiumの方がカワラタケよりも多量のMnPを産生していた。また、MnPの産生を誘導するMn(II)を添加してカワラタケ処理を行うと、ポリエチレン分解が著しくなり、MnP産生量も増大した。 以上より、ポリエチレン生分解にはMnPが関与すると判断されたため、P.chrysosporium由来の部分精製MnPを用いてポリエチレン膜を処理した。その結果、8日間のMnP処理で重量平均分子量が716,000から89,500に低下し、伸びは全く認められなくなり、引っ張り強度も約50%低下した。よって、MnPでポリエチレンは生分解されるという新規な成果を得るに至ったが、MnP反応系にTween 80が存在すればペルオキシダーゼ系酵素を活性化するために必要な過酸化水素の供給は必要ではないという興味ある現象が見いだされた。そこで、次年度はTween 80の役割や過酸化水素非供給系におけるMnP活性化機構について検討する予定である。
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