2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660161
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西田 友昭 静岡大学, 農学部, 教授 (10252165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐司 静岡大学, 農学部, 助教授 (30236921)
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Keywords | 白色腐朽菌 / ポリエチレン生分解 / マンガンペルオキシダーゼ / リグニン生分解 / 合成高分子 |
Research Abstract |
昨年度、P.chrysosporium由来の部分精製マンガンペルオキシダーゼ(MnP)でのポリエチレン分解を実証した。しかしながら、MnP反応系にTween80が存在すればペルオキシダーゼ系酵素を活性化するために必要とされている過酸化水素の供給は不要であったことから、本年度はTween80の役割や過酸化水素非供給系におけるMnP活性化機構について検討した。 Tween80の役割について検討した結果、Tween80を含む界面活性剤はMnPを安定化させる役割を果たしており、MnP触媒サイクルにおいてMn(II)からMn(III)を長期にわたって継続的に供給するため、効率的なポリエチレン分解をもたらすことが判明した。次いで、過酸化水素非供給系でMnPが活性化されMn(III)を生成する機構について検討した結果、Mn(III)の生成には界面活性剤の有無や種類は大きく影響せず、酸素がMn(III)に重要な役割を果たすこと、さらには、酢酸マンガン(Mn(III))の添加がMn(III)の生成を促進することを見いだした。これらの点から、(1)反応系内に存在するMn(II)が自動酸化を受けて微量のMn(III)を生成する、(2)生成したMn(III)が緩衝液成分のマロン酸を分解してヒドロペルオキシ酢酸とスーパーオキサイドアニオンラジカル(O_2^-)を生成する、(3)O_2^-はMn(II)による不均化反応を受けて過酸化水素を生成する、(4)生成したヒドロキシペルオキシ酢酸と過酸化水素がMnPを活性化し、Mn(II)からMn(III)が生成する、という機構が考えられ、これによって過酸化非供給系のMnP処理でポリエチレンは分解されるものと結論された。
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