1998 Fiscal Year Annual Research Report
リグノセルロースの微生物酸化による木材接着性物質合成法の開発
Project/Area Number |
10660168
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡本 忠 近畿大学, 農学部, 教授 (50027067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 隆 近畿大学, 農学部, 助手 (00278730)
高谷 政広 近畿大学, 農学部, 講師 (60154788)
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Keywords | リグニン / 酸化 / 木材接着 / 微生物酸化 / 酵素酸化 |
Research Abstract |
2種の単離リグニン(クラフトリグニン、エタノールリグニン)および爆砕リグノセルロース(ブナおよびスギ)を試料とし、リグニンを優先的に分解するとされる白色腐朽菌4種、リグニンを分解しにくいとされる褐色腐朽菌1種、およびコウジかび1種を微生物触媒として用いて部分酸化を検討した。予備試験では8種の微生物について調べたが、その内2種は生育が悪いので本試験では除外した。また、添加剤による誘導酵素の生成を期待して、リグニン生分解反応中で関与が報告されているベラトリルアルコールの添加も検討した。すべての条件にわたって反応生成物中に有意な量の低分子化合物を認めることができなかったので、クロマトグラフィーによる低分子生成物の単離分析を行わず、生物反応生成物を等量のフェノール/ホルムアルデヒド樹脂と混ぜて3プライ合板を製作し、引っ張りせん断試験(常態試験、耐温水試験、および耐煮沸繰り返し試験)によって接着性を評価した。試験片は各条件最低5枚としその平均値を求めたが、結果には未だばらつきが認められた。生物触媒による処理を行わない試料と等量のフェノール/ホルムアルデヒド樹脂との混合物からなるコントロールを基準として接着性を比較、評価した。コントロールでは、スギ爆砕木粉と比較してブナ爆砕木粉がより接着強度に富み、リグニンではクラフトリグニンがエタノールリグニンを上回る効果を示した。微生物で処理した試料は、いずれもコントロールと比較してわずかではあるが接着強度の向上が認められた。しかしその程度では実用的意義をもつには至らず、ひき続き、より活性の高い触媒系の探索が必要である。なお、ベラトリルアルコールの添加効果は認められず、これまでのところ褐色腐朽菌と白色腐朽菌との差も顕著ではない。 次年度は、微生物と化学(遷移金属錯体)両触媒混用系について、同一の手法により研究を進める。
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Research Products
(1 results)