1999 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ卵黄蛋白形成とその遺伝子発現調節に関する研究
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10660171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, 農学部, 助教授 (30177208)
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Keywords | ホタテガイ / 卵巣 / 卵黄蛋白 / cDNA |
Research Abstract |
平成11年度は成長期のホタテガイ卵巣から作製したcDNAライブラリーからの卵黄蛋白cDNAのクローニングと,蛋白レベルでの卵黄蛋白形成調節を卵巣組織のIn vitro培養実験によって検討した。 1.cDNAクローニング 昨年作製したホタテガイ卵巣cDNAライブラリーから,ホタテガイ卵黄蛋白抗体をプローブに使用し,9個の卵黄蛋白cDNAをクローニングした。最も長い1.8kbpのcDNAが開始コドンを含むと推定されたが,終止コドンが認められず,完全長ではなかった。しかし,この領域がコードするアミノ酸配列は既知の卵黄蛋白前躯体と40%前後の相同性を示し,これによって得られた分子系統樹も進化系統樹との一致を示した。すなわち,本クローンは明らかにホタテガイ卵黄蛋白(前躯体)cDNAであり,卵巣が卵黄蛋白合成の場であることを示唆した。 2.卵黄蛋白形成の調節 卵巣が卵黄蛋白合成の場であったことから,内因性のステロイドホルモン,エストラジオール(E_2)もしくは頭部・足部神経節抽出物の卵黄蛋白産生量に対する影響を卵巣組織培養とELISA法で検討した。E_2は用量依存的に合成を促進し,頭部・足部神経節抽出物に熱・蛋白分解酵素に耐性のある分子量1万以下の卵黄蛋白合成促進因子を見出した。さらに,成長期の卵母細胞に限ってエストロゲン受容体様分子が認められたことから、この受容体を介してE_2と中枢神経による卵母細胞内での卵黄蛋白形成調節の可能性が推測された。 次年度は卵母細胞内での卵黄蛋白の自家合成を証明するために,in situ hybridization法による卵黄蛋白遺伝子発現細胞の特定と,卵巣の発達段階毎の卵黄蛋白遺伝子発現状況とその調節をノザンブロット法によって解析し蛋白レベルでの結果と併せて,二枚貝での卵黄蛋白形成のメカニズムの全体像を明らかにしたい。
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