2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 裕之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70190478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 賢一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20013584)
勝川 俊雄 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90302679)
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Keywords | 資源変動 / リスク評価 / 卓越年級群 / 資源管理 / 未成魚 / Beverton-Holtモデル |
Research Abstract |
非定常な海洋生態系を漁業によって有効かつ持続的に利用するには、多魚種を一括して管理することが重要である。本研究では、特に資源変動が著しい浮魚類を取り上げ、マイワシ、マサバ、カタクチイワシ、マアジ、サンマ、スルメイカなどの主要魚種を効率的に利用する漁獲政策を検討した。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)複数の独立に変動する資源がある場合、その時点で優先する魚種を集中して漁獲するスイッチング漁獲という管理方策を検討した。この方策は長期的な草漁獲量を増やすことができ、資源が減ったときの乱獲を防ぎ、保全に有効であり、資源変動幅も小さくなることが理論的に示された(Katsukawa2002) (2)コホート解析の結果、1990年代のマサバ太平洋系群を以前のように成魚中心に漁獲していれば、資源が回復していた可能性が示唆された。さらに、今後も90年代と同じ漁獲圧をかけ続けた場合、今後資源が回復する可能性がきわめて低いことが示唆された。(松田ら2002) (3)成長乱獲と加入乱獲が将来の漁獲量に与える負荷を現在の漁獲量と比較する統一的な理論を構築した(Matsuda et al. 1999)。さらに、乱獲と保全を繰り返したミナミマグロのような魚種について、齢構成の歪みから今後も単調に資源が回復するのではなく、振動しながら回復し、成魚資源量が一時的に減少する可能性があることを示した(Mori et al. 2001)。 なお、本研究の途中で松宮義晴教授が急逝し、その課題を勝川俊雄が引き継いだ。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Katsukawa T: "Switching fisheries for non-equilibrium bioresources"Fish. Sci.. (in press). (2002)
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[Publications] Mori M, Katsukawa T, Matsuda H: "Recovery Plan for the Exploited Species : Southern Bluefin Tuna"Population Ecology. 43. 125-132 (2001)
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[Publications] Matsuda H, Yamauchi A, Matsumiya Y, Yamakawa T: "Reproductive value, Harvest value, impact multiplier as indicators for maximum sustainable fisheries"Environmental Economics and Policy Studies. 2. 129-146 (1999)
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[Publications] 松田裕之, 河合裕朗, 勝川俊雄, 谷津明彦, 渡邊千夏子, 三谷卓美: "マサバ資源管理方策の検討"月刊海洋. (印刷中). (2002)
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[Publications] 松田裕之: "生態系管理システム、リスク・合意形成の科学"数理科学. 462. 79-83 (2001)
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[Publications] 勝川俊雄: "Management Procedureと日本の資源管理型漁業"月刊海洋号外. 17. 123-128 (1999)
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[Publications] 松田裕之: "環境生態学序説:持続可能な漁業,生物多様性の保全,生態系管理,環境影響評価の科学"共立出版. (2000)