2000 Fiscal Year Annual Research Report
内湾環境の物質循環と種の多様性からみた自然プランクトン群集と養殖生物の相互作用
Project/Area Number |
10660177
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷村 篤 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (10125213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 章人 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10111163)
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Keywords | 英虞湾 / 養殖生物 / カイアシ類 / Olthona / Acartia / Paracalanus / クロロフィルa |
Research Abstract |
本研究は、養殖場として高度に利用された典型的内湾水域である英虞湾と的矢湾を中心に、浮遊生物群集の種組成及び生物量の季節変化を海洋環境との関連において明かにし、加えて養殖生物による影響を検討することを目的としたものである。 本年度も昨年度に引き続き英虞湾内での周年にわたる現場観測・調査を実施した。本年度は、主に動物プランクトン群集についてその生物量の季節変化を調査し、主要な分類群であるカイアシ類の季節変化と海洋環境要因との関係を明らかにした。 英虞湾におけるカイアシ類は夏季にOithona davisaeが卓越し、冬季から春季にはAcartia omoriiが卓越して出現した。一方、秋季及び春季にParacalanusの割合がそれぞれ高くなる傾向が見られた。Oithonaの個体数とクロロフィルa濃度の間には、どのサイズ画分のクロロフィルa濃度の間においても有意な正の相関がみられ、Oithonaはナノおよびミクロサイズの植物プランクトンを専ら摂食していることが示唆された。一方、Acartiaは、観測期間中において、水温が低くなると出現する傾向がみられ、全クロロフィルa濃度およびサイズ別クロロフィルa濃度とのあいだには全く相関を示さなかった。Acartiaは餌として植物プランクトンではなく、クロロフィルa濃度としてあらわれない従属栄養性の生物を摂食している可能性が示唆された。春季および秋季に比較的高い割合を占めたParacalanusは、全クロロフィルa濃度と有意な相関はみられなかったものの、2-10μm画分のクロロフィルa濃度とは、有意な正の相関が見られた。このことからParacalanusは、ナノサイズの植物プランクトンを選択的に摂食していた可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)