1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660180
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 攻 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (00176934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 周平 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70134658)
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Keywords | カイアシ類 / デトリタス / Cephalophanes / 甲殻類 / 近底層 / レンズ / Neocalanus / 性的二型 |
Research Abstract |
1.深海性デトリタス食者Cephalophanes属の特殊な光感覚器官である1対の頭部反射板と消化管内容物について昨年度から研究を継続している。各反射板には視細胞が2個あり、反射板内部には40〜180nmの厚さを持つキチンプレートが多層に重なっており、プレートはパラボラ縁辺部で10〜20枚、頂点で最大約80枚に達した。プレートは前方から後方へ徐々に薄くなり、反射板が様々な波長を検知するのに適していると推定された。中腸のゾーンIIと呼ばれる部位に甲殻類の破片が充満している場合のみ、ある種の物質がR細胞が多く分布する消化管前端に充満していた。本物質の同定は今後の課題である。 2.クチクラレンズを持つ大陸棚近底層性Macandrewella属は主に甲殻類死体/脱皮殻を摂食していた。レンズはCephalophanes属の反射板同様に、甲殻類死体などに付着する発光バクテリアの検知用と推定された。また、浅海近底層性Pseuodocyclops属は底生性珪藻類、渦鞭毛藻類を主に摂食していることがわかった。 3.北太平洋外洋域表・中層に生息するNeocalanus cristatusの天然餌料について調査した。珪藻類、渦鞭毛藻類が主要餌料になっていたが、夏には有鐘繊毛虫、冬には珪質鞭毛藻類も重要であることがわかった。本種は粒子食者であるがデトリタスへの嗜好性が強いと指摘されていたが、動物の糞粒を摂取している可能性が今回、明らかになった。 4.カイアシ額の摂餌生態と性的二型の関連についても調査を行った。カラヌス目の中で最も進化したと考えられるクラウソカラヌス、スピノカラヌス上科では、ほぼ全ての雄は口器が退化して摂餌を行わないが、雌性フェロモンなどを検出するための第1触角にある化学感覚器やこれを検出するための水流を作り出す器官は雌より発連している。
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[Publications] Susumu Ohtsuka: "Three new species of the demersal calanoid copepod Pseudocyclops from Phuket, Thailand"Plankton Biology and Ecology. 46. 132-147 (1999)
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[Publications] 大塚攻: "中海における動物プランクトン,特にカイアシ類の食性について"Laguna(汽水域研究). 6. 89-105 (1999)
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[Publications] 大塚攻: "中海本庄工区内外における動物プランクトン群集の季節変動"Laguna(汽水域研究). 6. 73-87 (1999)
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[Publications] Susumu Ohtsuka: "Sexual dimorphism in calanoid copepods:morphology and function"Hydrobiologia. (印刷中).
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[Publications] 大塚攻: "海洋動物プランクトンの寄生生物(総説)"日本プランクトン学会報. 47. 1-16 (2000)