1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660182
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 倫也 九州大学, 農学部, 教授 (00183955)
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Keywords | 卵成熟誘起ホルモン(MIH) / ステロイドホルモン / 卵成熟 / 卵黄形成 / 17,20β-P4 / エストラジオール-17β / 20β-HSD / MIHレセプター |
Research Abstract |
本年度は、養殖漁業対象魚中最も重要種の一つであるであるブリを対象にして、それらの各発達段階にある卵瀘胞を採取し卵形成の種々の過程(成長と成熟)を制御するステロイド性諸因子、特に、卵成熟誘起ホルモン(MIH)の解明を目的として研究を行った。ブリの卵の発達様式は非同時発達型で、数日間隔で成熟、産卵が複数回行われる。まず、各成熟段階にある瀘胞付き卵母細胞を[^3H]プレグネノロン(P5)とともに培養し、卵黄形成期および卵成熟時に瀘胞組織で合成されるステロイドホルモンの解析を行った。TLCにより代謝物を分離し、各代謝物を再結晶法で同定した結果、卵黄形成期の卵瀘胞では、P5,17αヒドロキシプレグネノロン(17-P5)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(AD)、テストステロン(T)およびエストラジオールエストラジオール17β(E2)の経路で、E2が合成された。一方、核移動期から成熟期にかけては、DHEA、AD、TおよびE2の合成量は減少し、それらに代わって、17α-ヒドロキシプロゲステロン(17-P4)、17,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(17,20β-P4)、11-デオキシコーチゾル(S)および5βープレグナン-17,20β-ジヒドロプロゲステロン(5β-17,20β-P)の生成量が増加した。これらの卵成熟期に合成量の増加したステロイドを本種のMIH候補と考え、in vitroにおける卵成熟誘起能を比較した結果、17,20β-P4が唯一、他のステロイドより圧倒的に高い卵成熟誘起能を示した。さらに、これらの^3H標識化合物を合成し、成熟期の卵細胞膜画分から調整したMIH受容体との結合試験を行った結果、17,20β-P4が唯一高い結合能を示した。これらの結果より、本種の卵成熟には17,20β-P4がMIHとして機能していることが明確に示され、本種のMIHが17,20β-P4であることが証明された。また、E2合成系からMIH合成系への転換は、C17,20-リアーゼの活性低下と20β-HSDの活性上昇により引き起こされ、これは、これまで報告された全ての魚種において共通した卵成熟におけるMIH合成機構であることが明らかとなった。
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[Publications] Michiya Matsuyama: "Hormone induced artificial propagation of tiger puffer (Takifugu ruberipes)"6th Int. Symp. Reprod. Physiol. Fish, Fish Symposium 99, Bergen. 212-214 (1999)
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[Publications] Michiya Matsuyama: "Maturation-inducing hormone of the tiger puffer,Takifugu rubripes(Tetraodontidae, Teleostei): biosynthesis of steroids by the ovaries and the relative effectiveness of steroid metabolites for germinal vesicle breakdown in vitro"Zoological Science. (in press). (2000)
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[Publications] 松山 倫也: "魚類の配偶子形成機構 -水産における基礎と応用-"海洋出版、月刊海洋32. 4 (2000)
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[Publications] 松山 倫也: "性ステロイドホルモン"海洋出版、月刊海洋32. 9 (2000)