1998 Fiscal Year Annual Research Report
海産ツボワムシ類(小型種)の耐久卵形成・休眠・孵化機構の解明と保存技術への応用
Project/Area Number |
10660187
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
萩原 篤志 長崎大学, 水産学部, 教授 (50208419)
|
Keywords | 海産ツボワムシ / 小型種 / 休眠卵 / 保存 / 種苗生産 / Brachionus rotundiformis |
Research Abstract |
【目的】小型種のワムシBrachionus rotundiformisを材料とし、両性生殖誘導機構の解明および交尾機構、特に性フェロモンの生化学的性状について研究を行った。 【方法】天然から採集した後、研究室で培養したワムシを材料とし、両性生殖頻度を比較、休眠卵量産のための適株選択を行った。これらを材料として、水温、塩分が両性生殖に与える影響を求めた。また、ワムシの両性生殖誘導に対して薬理作用が確認されているγアミノ酪酸と5-HTの作用機構を検討した。 次に、小型種から抽出した性フェロモン(糖タンパク)に対し、ポリクローナル抗体を作成してアッセイ試験を行った。すなわち、1)蛍光標識した性フェロモン抗体を複数のワムシ株の雌と反応させ、抗原抗体反応の度合いを蛍光顕微鏡と画像解析を用いて測定、2)抗体を反応させた雌に対する各ワムシ株の雄の交尾行動頻度測定、を行った。以上より、S型ワムシ株間の生殖隔離状況を求め、休眠卵形成に対する影響を求めた。 【結果】採集したワムシ20株のうち、両性生殖を発現したのは8株で、そのうち、ハワイ株、マレーシア・ランカウィ島株、甑島株、インドネシア・マナド株、タイ株、フィジー株の発現頻度は30%以上に達した。いずれも水温30℃以上、塩分16pptで発現が促進された。休眠卵形成率は、ハワイ株とランカウィ島株で特に高く、休眠卵量産の適株と判断された。HPLC分析によって、大型種、小型種とも、ワムシがγアミノ酪酸、5-HTを体内に有することが分かり、ワムシの神経伝達物質として機能していることが示唆された。甑島株から作成した抗体は、浜名湖株、スペイン株以外と良く反応した。これらの抗体を反応させたメスに対して、オスの交尾行動が顕著に抑制された。他のワムシ株がコンタミしても、休眠卵形成に対する影響は、大型種の場合ほど顕著ではないと推察された。
|
Research Products
(1 results)