1999 Fiscal Year Annual Research Report
有明海産ムツゴロウ生産に関わる飼料環境と摂餌行動との関係の研究
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10660188
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
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Keywords | 餌料珪藻 / 行動 / ムツゴロウ |
Research Abstract |
本年度は、干潟に生息を始めたばかりの当歳魚がテリトリーを獲得する過程を解析すべく、干潟における観察を行ったが、行動軌跡の詳しい解析には、1996年に諌早湾奥部の干潟で記録し保存していたビデオ記録を用いた。さらに、一年目に取りかかった行動と潮汐との関係、餌料珪藻量測定、行動圏の決定に関する検討についても、追加して現場で採取した資料も含め、研究を完成させた。 当歳魚は、8月に干潟上に現れ、出現当初は放浪する行動様式を見せるが、次に一つの水場を中心に数分-数十分滞在する様式を経て次の行動様式に変わる。最終的な定住型は10月に現れた。定住型は水場にある深さ5-25cmの生息孔を中心に行動圏で摂餌し、侵入個体を攻撃した。また、定住型の個体間でも干渉が生じた。当歳魚はこのようにして、餌場であるテリトリーを獲得する。魚体サイズに定住型と他の型との一定の傾向はなく、必ずしも大型個体が早くテリトリーを獲得するわけではない。サイズ以外の要素も行動様式の発現に関わると考えられた。 干潟の餌料珪藻量には、時期的に数倍の変化がみられるが、それは季節に対応したものではなかった。したがってムツゴロウの餌料量は、季節以外の要素にも影響を受けて経時的に変化すると考えられたが、その要因を特定することは出来なかった。ムツゴロウの栄養状態の生息域間比較から、必ずしも餌料量と栄養状態が対応せず、餌料量以外にムツゴロウの栄養状態に関係する要素があると考えられた。また、ムツゴロウは生息孔を中心とするテリトリーで餌を確保する反面、生息孔への執着で行動が制限され、餌料量が必ずしも栄養状態や生産量に反映しないことも考えられた。
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