1998 Fiscal Year Annual Research Report
板鰓類平衡砂の元素組成の生態学的応用に向けての研究
Project/Area Number |
10660190
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 彰 東海大学, 海洋学部, 教授 (90138636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
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Keywords | 板鰓類 / 平衡砂 / 元素分析 / 生態学的応用 |
Research Abstract |
駿河湾及び熊野灘で沿岸性、深海性、外洋性板鰓類50種418個体とギンザメ4個体を採集した。これらの試魚から注意深く耳胞を取り出し、純エタノールに保存した。平衡砂の重さは種、各種のサイズにより大きく異なった。外洋性のメジロザメ科に属するハナザメ、ヨシキリザメ、ドタブカ、クロトガリザメの大型個体は0.73gから6.43gと大きな平衡砂を持っていた。しかしながら、ネズミザメ科に属するアオザメ、ニタリ、マオナガでは体の大きさに比較して平衡砂は0.02gから0.08gと小さかった。同じツノザメ科のサメ類の中でもフトツノザメのように0.22gと大きな平衡砂を持つ種とそのフトツノザメと同じサイズでありながらサガミザメのように0.07gと小さな平衡砂を持つ種がいた。また、沿岸性のサメの中でもホジザメの平衡砂は0.29g、同サイズのエイラクブカは0.05gと、同じ生息環境にいる種でも平衡砂の大きさは異なった。現在、成長に伴う平衡砂の重量変化を測定中である。 誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)での元素組成の分析では平衡砂中に含まれるカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、リンを測定する事に決め、現在、測定中である。一部、共同研究者大竹がエイ類のカルシウムとストロンチウムの濃度比を求め、1.52-1.95の範囲にあることを明らかにしている。今年度はできるだけ多くの、様々な環境に生息する板鰓類の採集に力をいれ、標本採集ができた。今後、採集した標本の測定分析を行っていく予定である。
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