1998 Fiscal Year Annual Research Report
魚類筋内パルブアルブミンの脂質吸着・結合機能の解明
Project/Area Number |
10660192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川合 祐史 北海道大学, 水産学部, 助教授 (60195039)
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Keywords | パルブアルブミン / 乳化特性 / 粒度分布 / コイ / クリーミング / 分散安定化 / 等電点 |
Research Abstract |
魚類筋形質タンパク質の一成分であるパルブアルブミン(PA)の乳化特性について、コイのPA溶液に対してトリオレインを分散相としてウルトラターラックスホモジナイザーで水中油型エマルションを形成させ、水-油界面へのPAの吸着挙動と乳化粒子分散状態から、エマルション崩壊過程の安定化に対するPAの役割を検討し、以下の知見を得た。 1. PAによって分散調製されたエマルションは,レーザー回折による粒度分布測定の結果、優れた粒度分布(サイズ)を示し,中性条件下における不安定化過程はクリーミング先導型であるが,凝集・合一過程の進行速度は著しく小さく,粒度分布特性は安定であった。 2. 筋形質タンパク質成分間においてPAの水-油界面に対する優先的吸着挙動は認められなかったが、分散安定性の高いエマルション粒子にはPAの吸着量が多く、PAがエマルション粒子表面においてその分散安定化に寄与することが示唆された。 3. 化学修飾(アシル化およびグアニジル化)によって等電点をシフトさせたPAで調製したエマルションの粒度分布特性とクリーミング挙動から、その凝集度にはpHに依存する荷電状態が密接に関係し,クリーミング現象は荷電状態には関係なく吸着タンパク質量と強く関連していることが示唆された。 4. PAは,低濃度でも粒度分布の安定性に寄与しており,水-油界面において少ない吸着量で速やかに広がって安定な膜を形成し,負に帯電した吸着タンパク質の静電気的反発力によって分散を保ち,粒子の合一に対する安定性を付与する機構が考えられた。反面,分散安定化に要するPAの吸着量が少ないことは比重が小さく浮上(クリーミング)速度が大きいエマルション粒子の形成要因であることが示唆された。
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