1998 Fiscal Year Annual Research Report
オゴノリ科紅藻類におけるPGE2およびその関連物質の生成に関する研究
Project/Area Number |
10660196
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮澤 啓輔 広島大学, 生物生産学部, 教授 (20034457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 学 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60243606)
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Keywords | 紅藻オゴノリ / オゴノリ科紅藻 / 食中毒 / 海藻食中毒 / プロスタグランジン / PGE2 / プロスタグランジンE2 |
Research Abstract |
平成4年10月に横浜で紅藻オゴノリ(Gracilaria verrucosa)喫食による食中毒が発生し、死者もでた。これまでこの種の海藻喫食による食中毒は日本では数回発生していたが、中毒の直接的要因は海藻オゴノリの酵素の触媒によりアラキドン酸から生成した多量のプロスタグランジンE2(PGE2)による。本研究ではこのオゴノリ科紅藻類のPGE2生成量を調査し、その生成条件を検討し、食中毒の可能性を吟味するとともに、オゴノリ類海藻に検出されるPGE2以外のプロスタグランジン(PG)関連物質についてもその生成量を測定し、構造を推定し、中毒との関連を検討することを目的とした。実験では5種合計110試料のオゴノリ類海藻を供試した。オゴノリG.verucosaでは常にPGE2が検出され、その最高値は90μg/gで、推定中毒量には達しなかった。その量は成長の初期に高く、その後減少する傾向を示した。嚢果の有無による差はなかった。また藻体の液体窒素処理により、PGE2の生成量は数倍に上昇すること、酸性側では著しく減少することを認めた。一方、他のオゴノリ科の紅藻シラモ(Gracilaria bursa-pastoris)、カバノリ(G.textorii)、ツルシラモ(Gracilariopsis chorda)と未同定種オゴノリ(Gracilaria sp.)ではPGE2は検出されず、別に未同定PG関連成分が検出された。この成分の吸収極大はPGE2の190nmとは異なり、240nm付近にあった。また質量分析で、m/z=372,355,337,319,301にピークが検出されたことから、PGE2よりOH基が1つ多く、構造が部分的に異なる物質と推定した。構造の詳細等についてはさらに検討する予定である。
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