1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660201
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 繁 北里大学, 水産学部, 助教授 (20170748)
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Keywords | 下痢性貝毒 / オカダ酸 / Prorocentrum / Dinophysis / 細菌 / 抗オカダ酸抗体 / オカダ酸関連化合物 |
Research Abstract |
下痢性貝毒(DSP)の本体はオカダ酸(OA)とその誘導体である。貝の毒化時に発生するDinophysis属渦鞭毛藻が同じ毒を持つことから同藻がDSPの原因生物であるとされている。DSPの生合成機構は現在のところ不明であり、Dinophysis自身がDSPを生産しているか否かは明らかではない。筆者はD.fortiiおよびDSPを持つ底生性渦鞭毛藻Prorocentrum limaを希ホルマリン海水で洗浄した後、細胞から細菌の分離を試みたところ、それぞれ1種ずつのグラム陽性菌1種を得た。これらの細菌の抽出物中にはOAおよびその既知の誘導体は全く検出出来なかったが、抗OAモノクローナル抗体に反応する成分すなわち未知のOA関連物質が含まれていることを見出した。対照として用いた大腸菌、Vibrio alginolyticusならびに麻痺性貝毒原因藻であるAlexandrium tamarense等から分離した細菌の抽出液中にはこのような成分は認められなかった。そこでDSP原因藻から分離されたこれらの細菌の生産するOA関連化合物の精製を試みたところ、粗抽出物中の目的成分は水溶性であること、ゲル濾過や弱塩基性陰イオン交換クロマトグラフィー上の挙動から目的成分はOA関連化合物がタンパクあるいはポリペプチドに結合し、分子量3,000以上の形を取っているものと推定された。P.limaから分離した細菌を超音波で破砕後プロテアーゼで分解したところ、二相分配で水から酢酸エチル相に抽出される画分中に抗OA抗体に反応する成分が認められた。そこで本菌をZobel2216培地中で30℃4日間振とう大量培養し35Lの培養液から得た菌体の酵素分解物を溶媒分画およびHPLCで精製し、抗OA抗体に反応する成分7mgを得た。本成分の構造および性状は現在検討中である。
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[Publications] K. Koike, S. Sato, M. Yamaji, Y. Nagahama, Y. Kotaki, T. Ogata and M. Kodama:: "Occurrence of okadaic acid-producing Prorocentrum Lima on the Sanriku coast, northern Japan."Toxicon. 36. 2039-2042 (1998)