1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660209
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梅津 千恵子 神戸大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (40294251)
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Keywords | 灌漑 / 地理的配分 / 農業生産 / 負の外部性 / 水質汚染 |
Research Abstract |
平成10年度に行った研究実績は以下の通りである。 1. 動学的灌漑用水モデルの文献調査:過去に研究された動学的灌漑用水モデルを調べ、それらと地理的配分モデルとの相違、限界を調査した。動学的灌漑用水モデルは主に 2. 動学的灌漑用水モデルの研究(シュミレーション分析):このトピックに関しては平成11年度に実施する予定である。 3. 環境問題を考慮に灌漑用水モデルの文献調査:農地地表水の地下水への浸水による環境問題、すなわち化学肥料・農薬による地表水、地下水の汚染の実態を調査した。この分野では日本における信頼されるデータの蓄積が少なく、また土壌の物理的性質による浸水度の違い等により、地表下から地下水、河川に汚染物質が到達するメカニズム及び因果関係は非常に複雑である。今後日本のみならず欧米等の経験から、農地、アグロビジネスによる環境汚染のさらなる文献調査が必要とされる。 4. 環境問題を考慮に入れた灌漑用水モデルの研究(理論モデル):文献調査に基ずき、静学的理論モデルに河川上流の農業生産による、地下浸水に伴う地下水及び下流の地表水汚染という負の外部性を組み込む。浸水による地下水ストックの増加という正のファクターとのトレードオフ関係を考察した。上流と下流が共同で農業生産による便益を最適化する場合、上流でのシャドウプライスは灌漑用水路の末端まで上昇し、末端では地下水を下流の農業用地へ供給する限界費用で下流の灌漑用水路の先端のシャドウプライスと一致する。農業特に地下水のストック及び水質(汚染度)の所有権が乖離している場合を考慮に入れ、さらに考察する予定である。
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