1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660211
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中林 吉幸 島根大学, 法文学部, 教授 (90237371)
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Keywords | 中山間地域 / 高齢者 / 農業 |
Research Abstract |
標記の研究課題を遂行するため、今年度2ヶ所において実態調査を行った。1ヶ所は8月初旬に島根県横田町で、もう1ヶ所は同月中下旬に鹿児島県輝北町で実施した。科学研究費補助金交付申請書においては農業協同組合を通じて調査対象世帯の選定を行う予定であったが、実際に農協に集落紹介を依頼したところ、調査の趣旨からいって町役場がふさわしいであろうという助言を受け、町役場を通じて世帯を紹介してもらうこととなった。調査は2つの町役場より事前に提供を受けた高齢者世帯名簿より100世帯を無作為抽出し、30世帯については個別面接聞き取り方式で、残りの70世帯については郵送アンケート回答方式で実施した。聞き取り調査については横田町、輝北町ともヒアリングが出来たのは3分の2の世帯であり、郵送アンケートについては回収率はほぼ50%であった。調査結果は予想とは若干異なるものであった。すなわち、私の予想では過疎地域に居住する高齢者はおそらくその地域が気に入っているから住み続けていると予想していた。具体的には「環境がいい」あるいは「景色がいい」という回筈を予想していたが、実際の回答においてはそれらの回答は多くはなく、「長男であるから仕方なくこの地域に残っている」あるいは「祖先の墓と家を守るためこの地域に住んでいる」という、いわばやむを得ずそこに住んでいるという回答が多かったことである。同時に多かった回答が、「農業には未来はない」、というものであった。これも私の予想をかなり裏切るものであった。中山間地域に対しての施策を樹立する際にはこのような住民の意向を踏まえてなされるべきであろう。
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