2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10660212
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Research Institution | OBIRIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
座間 紘一 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 教授 (30034870)
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Keywords | 農村人民公社 / 「村民自治」 / 村民委員会 / 家庭請負経営 / 郷鎮企業 / 農村行財政制度 |
Research Abstract |
今年度は人民公社制度崩壊後の農村の旧生産大隊レベルに設置された「村民委員会制度」の「自治組織」としての性格付を農民の経済的規定性を解明することを通じておこなった。 考察の領域は以下の通りである。 1人民公社制度の特徴、 2人民公社体制崩壊後の農村行政制度:国家・地方と農民との関係、郷(鎮)レベルの行政制度、行政村レベルの行政制度、郷(鎮)と村の関係、郷(鎮)・村幹部の特殊な地位、 3人民公社体制崩壊後の農村経済制度:地域共有資産に基づく地域集団経済、「家庭承包経営制」、「郷鎮企業」、農民の私的経営の自立性 4人民公社体制崩壊後の農村財政制度:制度的概観、郷(鎮)レベル、村レベル 5農民への「過重な負担」の発生メカニズム:1980年代以後の農村経済の質的変化と拡大、対上級請負・「民弁公助」の地域自助的財政制度 6「村民自治」の評価:国家の意図、農民の二重性・過渡性、「村民自治」の限界 考察によって得られた知見は以下の通りである。 「村民委員会制度」による「村民自治」は国家による基層農村の上からの統括を間接的に住民の参加と監督によって行おうとするものである。対象となるのは地域の集団所有財産に基礎を置いた基層幹部の官僚主義的支配である。しかし、近代的住民自治とは異なる狭い地域的な利害に基づく封鎖的な「共同体的」自治である。その経済的基礎は集団的土地所有と郷鎮・村所有企業に見られる自然村や行政村を単位とする地域が最大の資産所有者であること、住民はそれらの共同所有者であるが、集団から自立できないこと、地方財政制度は地域の集団財産とそれを基礎にした営利活動に歳入を依存し、土地請け負い農家および郷鎮企業は郷鎮の党や行政の官僚主義的支配から脱し、経営体として自立できず、パターナリスティックな関係を持たざるを得ないことにないことに求めることができる。この限界を突破するには都市と農村の経済的交流の深化と「戸籍」による住民の分断の解消を可能にする経済情況を創出することが必要である。
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Research Products
(2 results)