1998 Fiscal Year Annual Research Report
市町村が実施する地域農業構造政策の特質とその推進手法に関する研究
Project/Area Number |
10660215
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
村山 元展 高崎経済大学, 地域政策学部, 助教授 (60285070)
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Keywords | 地域農業構造政策 / 市町村農業公社 / 農作業受委託 / 標準小作料 |
Research Abstract |
本年度は地域農業構造政策の主体として市町村農業公社を対象に調査を実施した。農地の流動化や担い手創出を目的としたタイプとして島根県斐川町農業公社や秋田県琴丘町農業公社、さらに大分県の市町村農業公社育成の取組がある。特に斐川町では流動化体制の整備という点で大きな成果がみられる。すなわち行政・農業委員会・農協・普及センター・農業公社が一体となって町農業の基本方向について合意形成するとともに、各機関がその実現のための役割分担を明確にしている。逆に琴丘町では農協の広域合併という問題を背景に行政主体で取り組まざるを得す、とりわけ中山間地域の担い手創出・農地利用促進という課題に限界がみられる。要するに地域農業構造政策には関連する農業団体・組織の合意形成と役割分担が不可欠なのである。 さらに農作業受委託推進が中心の市町村農業公社として日光地区農業公社があり、また岩手県盛岡市のJA都南もある。そこでの問題はまさに農作業受委託料金問題である。日光地区は自作意向の強い地区であり、受委託が農業構造政策の主要な手段となっており、作業集積のみならず、作業料金が認定農業者の所得確保の上で大きな問題となっている。しかし委託農家と受託担い手農家との間には激しい対立があり、担い手サイドに立つ農業公社・農協と委託農家サイドに立つ農業委員会の間で合意形成がなされておらず、問題に直面している。こうした作業料金問題という経済問題は、上述の農業公社においても標準小作料問題として発現している。特に米価が下落傾向の中で、あるべき小作料水準をめぐって、農業委員会と合理化事業を担う農業公社との間での合意を困難にしている。 以上のように地域農業構造政策の課題は推進体制の整備とともに、小作料や作業料金という経済問題の解決に大きなポイントがあることが解明された。
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