1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660217
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
谷本 一志 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (30171862)
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Keywords | 担い手確保 / 担い手育成 / 農地継承 / 土地利用 / 農地流動化 |
Research Abstract |
いま、世代を越えた、家族経営の継承と再生産とが最大の課題となっている。今日の世代交替を契機に、いかに家族経営が一定数存続しうるかにある。若手のかなり存在するうちに、地域人材を立て直しする努力を必要とする。今後、さらに担い手確保を主導するものとして地域の役割が大きい。担い手育成とその確保とは、個別経営の担い手であると同時に地域の担い手でもあるからである。農地取得を強要したり、容易に個別負債を継承させることのないように、担い手に無理のない能力にあった規模拡大をすすめるような仕組みづくりが求められている。高齢化と兼業化によって、全国的規模で深刻な担い手問題に直面している。 土地利用型経営として政府管掌作物の相次ぐ支持価格低迷により、深刻な所得低下を招いている。そうした経営が、規模拡大路線を変更し集約的な野菜作拡大路線へ転換する経営志向もまた依然として強い。いいかえれば、農地購入投資を避けようとする動きでもあろう。高齢化・担い手脆弱化・農外就業化とともに、経営複合化に向かう担い手層など、それぞれどのようにして補強し支援していくか。今後の地域担い手は多様な経営体・多様な経営規模が地域内にまさに共存し、個別経営と組織展開との条件をそれぞれ棲み分けつつ、有機的に組み合わせることによって運営されるはずである。 土地利用型農家群を一定数育成し支援していくことが土地過剰問題を解消・緩和させる有効な方法なのである。その意味では、担い手問題と農地過剰の解消問題とは密接不可分の関係がある。「一代リース」、「生涯リース」方式で農業に参入できる途、つまり土地・施設などを買い取らなくてもよく、まとまった資産がなくとも農業参入できるようなメニューが現実化できれば、新たな担い手確保も期待できる。長期的リースとそれが終われば、また地域に返還していくようなシステムの創設が必要でもある。そこには、「公的農地」としてのファンドもまた同時に用意される必要がある。同時に、一区画の離農跡地への一括入植、つまり府県などからの新規就農か既存農家の移転入植による方法と、それへの支援も必要であろう。
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[Publications] 谷本一志: "新農業基本法と北海道農業の土地問題・担い手問題"北海道農業経済研究. 7巻2号. 39-54 (1998)
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[Publications] 谷本一志: "酪農経営と農地流動化・新規参入"農政調査時報. 518号. 46-53 (1999)
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[Publications] 谷本一志: "当面受け手のない農地の地域対策"農業および園芸. 74巻8号. 857-862 (1999)
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[Publications] 谷本一志: "新基本法にみる株式会社参入の経緯と問題点"農業北海道. 45号. 20-23 (1999)
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[Publications] 谷本一志: "地域主導の担い手育成と支援"農政調査時報. 511号. 8-13 (1999)
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[Publications] 谷本一志: "地価下落・連帯保証のなかの農地流動化"農業および園芸. 73巻9号. 955-971 (1998)
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[Publications] 谷本一志、坂下明彦: "北海道の農地問題"筑波書房. 336 (1999)
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[Publications] 谷本一志: "21世紀の北海道農業と農村"北海道協同組合通信社. 108 (1998)