1998 Fiscal Year Annual Research Report
水資源の有効利用を目的とした流域的 管理システムの構築
Project/Area Number |
10660225
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
千家 正照 岐阜大学, 農学部, 教授 (00144006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 健吾 岐阜大学, 農学部, 助手 (10303512)
西村 真一 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90228221)
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Keywords | 調整池 / 頭首工 / 無効放流 / 調整容量 |
Research Abstract |
I. 研究目的: 本研究では、水が不足傾向にある用水系を対象にして、管理、操作の改善策を検討するために運用実態を把握する。特に頭首工地点で利用されずに下流へ放流される余剰水の算定を目的とする。 II. 方法: A県西部に位置する用水系を対象地区とする。ここは、ダムよりT川を経由してH頭首工で取水、放流される流域である。受益面積は6,370haでほとんどが水田であり、ここでの用水量の3割程度がダム放流によるものである。この地区の用水要求量とダム放流の決定方法に関する聞き取り調査を行うとともに、過去5年間の雨量、河川流量などの利水データをもとに現在の用水運用状況(H.5〜H.9)を把握する。 III. 調査結果: 対象地区はここ数年水不足傾向にあり、取水・放流制限が頻繁に行われている.この現状を改善するため、余剰水と見なされる水を検討する必要がある。そこで、H.5〜H.9の5年間のH 頭首工地点の取水量実績より包絡線を推定し、余剰水の算定に用いる。この包絡線は、受益地で節水しなくてよい最低の取水量と考えられる。頭首工地点の流量にはダム放流以外に途中流入が含まれており、受益地での総用水量の6割強を賄っている。したがってこの途中流入の効率的利用が重要となる。そこで渇水年であるH.6を対象に頭首工地点の余剰水(Q=Q1-Q2-Q3-Q4 Q:余剰水 Q1:頭首工地点の流量 Q2:上水 Q3:包絡線による取水量 Q4:河川維持流量)を求めた。その結果、余剰水が0以下となる期間が長期見られるが、降雨による途中流入が増加し有効化されずに放流される用水も見られた。 IV. 結論: 4月中旬までに約8,000千m3の余剰水が放流されていることが分かり、これをその後5月中旬まで続く水不足時に利用できればダムの負担も軽減すると考えられる。そのためには、H頭首工地点に調整池が望まれるが、その調整容量は今後の課題である。
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