1999 Fiscal Year Annual Research Report
干潟域マクロベントスによる生物的撹乱の底泥環境及び栄養塩類の濃度分布に及ぼす影響
Project/Area Number |
10660233
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
瀬口 昌洋 佐賀大学, 農学部, 教授 (20093974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 治 佐賀大学, 農学部, 教授 (40038295)
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Keywords | 干潟 / 底泥 / マクロベントス / 生物的撹乱 / 酸化層 / 還元層 / 栄養塩類 / バクテリア |
Research Abstract |
平成11年度においては、初年度(平成10年度)とほぼ同様に、この研究に不可欠な現地観測データを出来るだけ多く蓄積するために、有明海奥部干潟域に設定した3ヶ所の観測試験区域でマクロベントスの分布、生態及び行動の調査、また底泥中の物理化学的特性や底泥間隙水中の無機栄養塩類濃度の測定を年間通して定期的に行った。そして、これらのデータを基に、マクロベントスによる底泥の生物的撹乱とそこでの環境的特性、特に酸化層と還元層の分布性との関係や生物的撹乱に伴う底泥中の環境的変化と底泥間隙水中の無機栄養塩類濃度の分布性との関連性について検討、考察した。その結果、明らかにされた点を要約すると、次のようになる。 1.気温の上昇する春季〜秋季において、干潟の干出する干潮時には、表在性及び埋在性マクロベントスの活動が活発化し、底泥表層での生物的撹乱が多く観測された。また、これに伴い、酸化層が底泥表面から深さ7cm付近まで拡大した。しかし、干潟が水没する満潮時には、特に表在性マクロベントスの活動が低下すると同時に、酸化層が底泥表面まで縮小し、逆に還元層が底泥表面まで拡大した。 2.干潮(干出)時において、底泥表層の酸化層内で間隙水中のNO^-_2,NO^-_3濃度が増加し、逆にNH^+_4濃度が急減した。しかし、満潮(浸水)時においては、底泥表層の間隙水中のNO^-_2,NO^-_3濃度は僅少となり、逆にNH^+_4濃度が増加した。このことより、潮汐の干満に伴って、底泥表層内では硝化と脱膣作用が交互に行われていることが推測された。 3.潮汐の干満とマクロベントスの生物的撹乱による底泥表層での環境的変化、さらには嫌気性及び好気性バクテリアの活性との密接な相互関係が把握された。
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