1998 Fiscal Year Annual Research Report
無代かき・育苗箱全量施肥による水田流出負荷の削減対策
Project/Area Number |
10660236
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
金木 亮一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (30074082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 憲治 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (60269727)
久馬 一剛 滋賀県立大学, 環境科学部・教授, 教授 (80027581)
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Keywords | 無代かき移植 / 代かき移植 / 育苗箱全量施肥 / 全層施肥 / 被覆肥料 / 流出負荷削減 / 水稲の生育・収量 / 食味テスト |
Research Abstract |
1. 大学内の実験圃場3筆を用い、無代かき・育苗箱全量施肥区、代かき・慣行施肥区、代かき・無肥料区とした。窒素とリンの物質収支に関しては、灌漑用水及び降雨による収入分と、表面流出水及び浸透水による支出分は大差なかった。したがって、収支の差は施肥量と収穫物の差として表れた。窒素は、慣行施肥区で20kgN/haの超過となったが、育苗箱全量施肥区では収支がほぼ等しくなり、無肥料区では土壌からの持ち出し(10kgN/ha)となった。リンについては、慣行施肥区、育苗箱全量施肥区ともに13kgP/ha以上の超過であり、節肥が可能である。無肥料区では2.5kgP/haの持ち出しであった。 2. ORP電極を土中に挿入して酸化還元電位の日変化を測定した。各区とも湛水後徐々にEhの値が低下し、還元化が進行した。しかし、各区の差異は小さく、無代かきの影響は見られなかった。 3. 水稲の生育状況を2週間に1度の割合で定期的に観測するとともに、収量調査・食味調査を行った。食味計による食味値は全刈り・部分刈り調査ともに育苗箱全量施肥区がやや高い値を示し、他は差がなかった。官能テスト(68名)の評価は育苗箱全量施肥区>慣行施肥区>無肥料区の順であった。 4. ポット試験を行い、窒素・リンの溶出割合及び土壌由来と肥料由来の割合を検討した。窒素の場合は、代かき施肥区が高濃度で推移したのに対し代かき無肥料区、無代かき施肥区、無代かき無肥料区の濃度は低いままであった。したがって、代かきに伴って施肥した肥料が溶出していることが伺われた。 一方、リンでは代かき施肥区よりは低いものの、代かき無肥料区の濃度も高くなった。したがって、代かきに伴って施肥リンが溶出するとともに、土壌吸着リンも田面水中に供給されることが判明した。
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