1999 Fiscal Year Annual Research Report
森林中の気流のコヒーレント運動に伴うガス交換の研究
Project/Area Number |
10660251
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
文字 信貴 大阪府立大学, 農学部, 教授 (20111982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鱧谷 憲 大阪府立大学, 農学部, 助手 (30264815)
北宅 善昭 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (60169886)
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Keywords | コヒーレント運動 / 組織乱流 / プルーム / 森林 / ガス交換 |
Research Abstract |
森林と大気の間で物質や熱の交換が組織的なコヒーレント運動によって行われていることが推定されているが,この研究では野外観測によってそれを確かめ,どの様な組織運動がその役割を担っているか,その運動はどの様な性質をもちいかにガス交換に貢献しているかを明らかとすることを目的としている.今年度は第2年度に当たり,昨年度に引き続いて滋賀県内の針葉樹林内で8月の晴天日に実験を行った.今年度は昨年度確認された対流プルームの構造について内部の輸送機構を詳細に調べるため1次元超音波風速温度計計を3台自作し,それぞれを鉄塔の頂部付近(23m),キャノピー頂部付近(16m),群落内(10m)に設置した.また昨年度と同じ水平回転アームを鉄塔頂部に,また細線熱電対を4高度に設置した. 今回の観測結果は森林の境界層内の鉛直風速成分(w)の性質に重点をおいた解析を行った.w変動の標準偏差は明確な高度変化を示し群落上では上層ほど大きく,群落内は小さい値となった.温度変動Tも群落内では小さな値となった.顕熱の輸送を示すwとTの共分散は純放射量に対応する明確な日変化を示した.顕熱輸送は水平方向に一様な森林の上では高さ方向に一定であるはずであるがこの場所では上層の方が大きい値となった.これは複雑地形が原因なのかキャノピーすぐ近くの粒度層の乱流の特殊性が原因なのか今後検討の必要がある.前回明らかとした温度場の鉛直方向の繋がりに続いて今回w変動の鉛直相関が明らかとなり対流プルームの中で熱だけでなく運動も明確に繋がり輸送に組織として貢献していることが明らかとなった.
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