1998 Fiscal Year Annual Research Report
発酵乳用プロバイオティック乳酸菌のヒト腸管付着因子(アドへシン)の特性解析
Project/Area Number |
10660254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 忠夫 東北大学, 農学部, 助教授 (00118358)
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Keywords | 乳酸菌 / プロバイオティックス / ヒト腸管 / アドへシン / 発酵乳 / ヨーグルト / 定着因子 / 構造解析 |
Research Abstract |
今年度は、以下の様な実験を行い、列挙するような成果を得た。 1 ヒト小腸および大腸の腸管粘膜上皮細胞上に存在する糖脂質の存在比を解析し、その糖脂質とくにシアル酸を含有するガングリオシド糖脂質の組成比を明らかにした。存在比は、スルファチド=0.6%、GM3=20.1%、GM1=19.2%、GD3=24.7%およびGD1a=35.4%であった。 2 この糖脂質組成にブレンドしたガングリオシド混合物を調製し、マイクロプレートウェル上に塗布した。また、L.acidophilusグループに属する35株の腸管系乳酸菌(市販株および研究室単離株)より、4M塩酸グアニジン溶液により細胞表層タンパク質(SLP)を調製した。ビオチニル化SLPをウェルに加え、ガングリオシドと特異的に吸着したSLP量を、ビオチンアビジン法で発色に導き定量した。 3 その結果、AグループよりBグループで強く反応する傾向が初めて明らかにされ、後者のグループより特に吸着生の高かった3菌株(JCM1131他)を選択した。 4 ウェル上のガングリオシド糖鎖に対して、過ヨウ素酸酸化前後での特異的吸着性を検討し、吸着は糖鎖に対して起こっていることを確認した。 5 また、ガングリオシド中でも特にGD1aに高い結合性を有することが判り、このガングリオシドをPVDF膜にコーティングして、「疑似ヒト腸管粘膜」を作出した。この膜を用いて、SLP中の結合に関与するレクチン様タンパク質を単離した。 今年度は、特にレクチンの単離精製に重点を置いた。来年度は、このレクチンのクローニングによる構造解析と、付着性の弱い株にレクチンを遺伝子導入法で発現させ、有用株の作出実験も行う。
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