1998 Fiscal Year Annual Research Report
草地の生物多様性が家畜糞尿中窒素の再吸収・利用に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
10660255
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西脇 亜也 東北大学, 農学部, 助手 (60228244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 和夫 東北大学, 農学部, 教授 (20005672)
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Keywords | 安定同位体窒素 / 生物多様性 / 家畜糞尿 / 草地 / 放物 |
Research Abstract |
本年度の実験は同農場内のオーチャードグラス草地、ペレニアルライグラス草地において10月8日より12月3日まで行った。これらは播種された牧草地であり、牧草が優占し種多様性が低い。実験に用いた牛尿は同農場内の搾乳牛より採取した。採取した牛尿に99.9atm%の重窒素(^<15>N)を含む尿素態窒素を添加し、尿中^<15>Nの存在率比を約1.9atm%に調整した。 対象草地に1.5m×1.5mの区画を設定し、中心に牛尿を半径8cmとなるように施用した。その際、オーチャードグラス草地には実際の放牧草地での排尿地点を想定した50cc施用区、その3倍量の150cc施用区、無処理区の3処理区、ペレニアルライグラス草地には50cc施用区、無処理区の2処理区を設けた。反復はいずれの区も4反復とした。施用尿の窒素量、^<15>N量は下表に示した。尿施用後、オーチャードグラス草地では14、28、56日目、ペレニアルライグラス草地では56日目に、区画中心より0〜8cm(中心部)および8〜18cm(周辺部)の牧草を採取した。14、28日目は地上部のみ、56日目は地上部と地下部を採取した。採取した牧草は78℃で48時間乾燥後に秤量し、全窒素含有率および^<15>N atom%の分析に供した。 全窒素含有率はケルダール法、^<15> Natom%は発光分析法により測定した。試料の^<15>N atom%から自然界の^<15>N atom%(0.365atom%)を差し引いて、試料の^<15>N excess%を求めた。牧草の^<15>N excess%を尿の^<15>Nexcess%で除した値を、牧草窒素中の尿由来窒素の割合とした。また、試料の全窒素含有量に^<15>Nexcess%を乗じて^<15>N 15Nexcess量を求め、牧草^<15>N15 Nexcess量を尿^<15>N 15Nexcess量で除した値を、牧草による尿窒素回収率とした。 その結果、牧草による尿中窒素の回収率は、オーチャードグラス草地での尿50cc施用区で39.4%、150cc施用区で21.6%であり、ペレニアルライグラス草地での50cc施用区で27.0%であった。多くの尿中窒素が吸収されずに土壌中に残留したり揮発や脱窒による大気中への移動や地下水とともに流亡したものと考えられる。
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