1999 Fiscal Year Annual Research Report
粗飼料生産を基盤とする肉牛生産体系における窒素の収支と土壌からの溶脱
Project/Area Number |
10660257
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒川 勇三 東京農工大学, 農学部, 助手 (00234592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 治夫 東京農工大学, 農学部, 助手 (20236615)
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Keywords | 窒素施肥 / 牧草収量 / 溶脱 / 放牧 / 採草 |
Research Abstract |
研究の目的:ライシメーターを設置した草地(0.9ha)を、放牧専用草地、放牧採草兼用草地の2つに分け、4月から10月にかけて、草地への窒素の投入量(化学肥料、放牧牛に給与する濃厚飼科)と、牧草および牛の生産量の測定を行う。さらに、ライシメーター中の土壌が安定したと思われる秋以降から、溶脱量等の測定を開始し、それぞれの草地における窒素ベースの生産量と溶脱量との関係を明らかにする。 調査項目と調査方法:東京農工大学農学部附属津久井農場内の牧草地(トールフェスク、オーチャードグラス、ホワイトクローバーの混播)で調査を行った。放牧専用草地は0.41ha、放牧採草兼用草地は0.49ha、放牧頭数は年間を通して5頭であった。4月22日から7月2目まで放牧専用草地で放牧し、7月3日から兼用草地も解放した。5月28日に兼用草地の牧草を刈り倒し、6月3日に乾草として収穫した。施肥は兼用草地のみで行い、硫安を6月3日の1回のみ6.86gN/m^2施用した。 結果と考察:放牧専用草地においては放牧牛による牧草採食量が18.1gN/m^2/yearであり、兼用草地においては、乾草として3.61gN/m^2year収穫され、放牧牛による牧草採食量が2.7gN/m^2/year、合計6.38gN/m^2/yearであった。草地利用法による牧草窒素生産量の違いは、放牧牛の糞尿による窒素の土壌還元が影響したものと考えられる。9月から12月までの間、ライシメーターで収集した溶脱水の量は15.5〜987ml/m^2/dayであった。9月から11月にかけて特に多かった。その中に含まれる無機態窒素などの量は現在分析中である。 今後は、さらに上述の測定を継続し、増体のデータに基づく糞尿排泄量および牛体に蓄積された窒素量の計算、溶脱水中の無機態窒素含有率の測定にもとづく窒素溶脱量の計算などを行って、放牧草地全体の窒素収支を明らかにする予定である。
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