1999 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症誘発型脂質と組織蓄積型脂質の生体内再配分に関する研究
Project/Area Number |
10660260
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 肇躬 九州大学, 農学部, 教授 (50038246)
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Keywords | 牛脂 / 動物性脂肪 / 植物油 / 脂肪酸組成 / 高脂血症誘発型脂質 / 組織蓄積型脂質 / 過酸化脂質 / β3作働薬 |
Research Abstract |
ラットにおける食餌性脂肪の吸収と生体内再配分のあり方と血清および組織蓄積脂肪の脂肪酸組成を調査した。また、食餌性脂肪のこのような生体内再配分に及ぼすβ3-アゴニスト治検薬の効果について調査した。糞中に残る食餌性脂肪について調査した結果は、牛脂の残留量は植物油よりも少なかった。その残留する脂肪酸組成はいずれの油脂でもパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸の三種が主要な脂肪酸であった。吸収された脂質の生体内での再配分のあり方については、オリーブ油は腹腔内脂肪(腎臓周囲脂肪)および肝臓のいずれの組織においても牛脂よりも有意に多く蓄積した。その脂肪酸組成は腹腔内脂肪で食餌性脂肪のそれと最もよく類似していた。筋肉や肝臓に蓄積した脂質の脂肪酸組成も食餌性脂質のそれと類似していた。β3作働薬であるBRL35,135を餌に混入させて投与すると、植物油を給餌した場合に生体内脂肪蓄積量を減少させた。特に、不飽和脂肪酸の蓄積阻害に対して有意な効果が認められた。CGP12,177の投与は食餌性脂肪の生体内蓄積に対しては有意な効果を認めるには至らなかった。糞中に残留する脂質及び生体内に再配分・蓄積された脂質の過酸化脂質活性(Lipid Hydroperoxide Activity)は、牛脂を摂取した場合には肝臓脂肪、腹腔内脂肪の何れにおいても植物油を摂取したラットのそれらよりも低い値を示した。このことからも、牛脂摂取が生体に有害ならざることが示唆された。他方、糞中に残留する脂質の被酸化性は牛脂を摂取したラットでの方がそうでないラットよりも高い傾向を示したが、有意差は認められなかった。
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