1998 Fiscal Year Annual Research Report
酸性ホスファターゼのチーズ熟成への寄与に関する研究
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10660262
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
阿久澤 良造 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (40147864)
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Keywords | 酸性ホスファターゼ / チーズ / 熟成 |
Research Abstract |
酸性ホスファターゼのチーズ熟成への寄与を解明するために今年度は、スターターとして汎用されているLactococcus lactis subsp.lactis303酸性フォスファターゼを精製し、酵素学的性質、一次構造の解明および遺伝子操作による改良乳酸菌の作製について検討した。 1. 精製および性質 細胞膜(CM)および細胞壁(CW)由来酵素の精製は、DEAE-cellulose,Sephacryl S-200,PhenylSepharose,Sepharose 4B-200,Superdex S-200カラムクロマトグラフィーによって行われた。ゲル濾過によって推定したCM,CW酵素の分子量は>10^6および16000と推定した。また、調製SDS電気泳動によって分画したCM,CWは、35600、16300であった。最適pH、温度は、両酵素ともpH5.2、50℃であった。CM、CW酵素の熱安定性は70℃、15分間の加熱に対し、33%、0%の残存活性を示した。CMとCW酵素に対する各種試薬の阻害性は異なった。CM酵素は、カゼインホスフォペプチドαs1-CN(59-79),β-CN(1-25)からリンを遊離したが、カゼインからは遊離しなかった。CWは、両者から遊離した。 2. 精製酵素の一次構造の解析 CMおよびCW由来酸性ホスファターゼについて分析した結果、N-端末がブッロクされていること示唆されることから、いづれかの酵素による分断後のアミノ酸配列の検索を予定している。 3. ホスファターゼ生産性改良乳酸菌の作製 ホスファターゼ生産を制御すると思われているプラスミドpNZ8048PReをLactococcus lactis NZ9800(プラスミドネガティブ株)に導入し、抽出DNAから得た精製PCR生産物をE.coli.101,Lactococcus lactis NZ9800およびMg1363に転写した。これら両菌株由来の酵素活性は、アルカリホスファターゼ活性の生産性は制御されるが、酸性ホスファターゼ活性の生産性については制御されないことが明らかになった。
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