1999 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物卵の成熟・老化の分子機構とその人為的制御に関する研究
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10660267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
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Keywords | MPF / 卵の老化 / fragmentation / カフェイン / バナデイト / ブタ成熟卵 |
Research Abstract |
本研究は、これまで現象としてのみ捕らえられていた哺乳動物の排卵卵(成熟卵)の老化時に、卵細胞質にいかなる変化が起こっているかを分子レベルで把握し、さらにこれを人為的に制御することを目的とするものである。この点を明らかにすることは遺伝子工学、発生工学など多分野にわたり近年多用される家畜の体外成熟卵子の卵操作時間の延長による卵の質低下の防止が期待できる。 その結果、卵子の老化に伴い卵成熟促進因子(MPF)活性が次第に低下することが明らかとなった。この原因を分子レベルで調べたところ、(1)MPFの構造分子で触媒因子のp34^<cdc2>、および制御因子のサイクリンB含量はほとんど変化しないこと、(2)p34^<cdc2>の活性抑制性リン酸化レベルが増加して不活性型のいわゆるpre-MPFが多量に蓄積すること、を明らかにした。この結果はサイクリンB分解により起こる、卵子活性化に伴うMPF活性低下と全く異なる機構によるものであり興味深い。次にp34^<cdc2>の活性抑制性リン酸化を促進するバナデイト、逆にこれを抑制するカフェインの添加により、老化卵のMPF活性を人為的に低下または上昇させ得ることを明らかにした。これはMPF活性を人為的に制御した始めてのものとして価値が高いと思われる。老化卵子は自発的活性化を起こし易いこと、また活性化すると約半数はfragmentationを起こすことは予備実験で確認している。これらの現象がMPF活性の低下に起因しているかを検討するため、上記の方法で人為的にMPF活性を変化させたところ、MPF活性を高めればfragmentationを抑制でき、老化卵子の再生が可能であることを示した。 以上、本研究により人為的に卵のMPF活性を制御することにより卵の老化を少なくとも部分的には人為的に制御できることが明らかとなった。
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[Publications] Seiki Haraguchi: "Phosphate exposure during the late 1-cell and early 2-cell stages induces a time-specific decrease in cyclin B and cdc25B mRNAs in AKR/N mouse embryos in vitro"Zygote. 7・2. 87-93 (1999)
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[Publications] Kazuhiro Kikuchi: "Inactivation of p34^<cdc2> kinase by the accumulation of its phosphorylated forms in porcine oocytes matured and aged in vitro"Zygote. 7・5. 173-179 (1999)
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[Publications] Koji Sugiura: "Analysis of the germinal vesicle requirement for the activation of MPF in maturation of porcine oocytes"J. Mamm. Ova Res.. 16・3. 130-134 (1999)
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[Publications] Kunihiko Naito: "Establishment of a small-scale western blotting system named as "micro-western blotting" for mammalian ova analysis"J. Mamm. Ova Res.. 16・3. 154-157 (1999)