1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660272
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 生物生産学部, 教授 (10167017)
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Keywords | 鶏 / 卵管 / 免疫 / ステロイド / レセプター / 精子 / マクロファージ / リンパ球 |
Research Abstract |
卵管の生体防御や受精率の維持に重要な卵管の免疫機能とその内分泌的調節機構について追究した。まず、卵管の精子貯蔵腺が性ステロイドの標的組織であるかどうかを検討したところ、産卵鶏の精子貯蔵腺はプロジェステロンとエストロジェンのレセブターを有することを見出し、精子貯蔵腺は性ステロイドの標的組織で、レセプターはエストロジェンの刺激により発現されることを示した。次ぎに、卵管の免疫応答に必要な免疫担当細胞のの局在とこれに及ぼす加齢と性ステロイドの影響を検討した。卵管にはマクロファージ、主要組織適合遺伝子複合体クラスII、T細胞とB細胞は、性成熟時やその後の加齢によって分布変化を示し、これには性ステロイドが関与することを明らかにした。精子や細菌のような外来細胞に対する免疫応答の過程では、主要組織適合遺伝子複合体クラスII(MHC-II)を発現する細胞による抗原提示、これによるT細胞の活性化、さらにこの情報を受けてのB細胞の活性化と免疫グロブリンの産生により、抗原抗体反応が生じる。卵管は外界に開口しているので細菌は常時侵入する可能性があるので、今回明らかになった卵管の免疫システムは生体防御のために重要である。一方、卵管内の精子に対して免疫応答が発現すると精子は生存できない。卵管の精子貯蔵腺で精子が長期間生存できることは、この組織において精子は免疫応答から逃れることができる可能性が推定される。本研究の結果は、これらの卵管免疫機能が加齢や性ステロイドの影響を受けて調節されることを示す。
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[Publications] Zheng,W.M.: "Effects of gonadal steroids on the localization of antigenpressenting cells,T and B cells in the chicken oviduct."Journal of Reproduction and Fertility. 114・1. 45-54 (1998)
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[Publications] Yoshimura,Y.: "Histological characterization of the oviducal structures in Guinea fowl (Numida meleagris)."Japanese Poultry Science. 35・3. 149-156 (1998)
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[Publications] Zheng,W.M.: "Localization of macrophages in the chicken oviduct :effects of age and gonadal steroids."Poultry Science. 78・7. 1014-1018 (1999)
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[Publications] Yoshimura,Y.: "Immunolocalization of progesterone and estrogen receptors in the sperm storage tubules of laying and diethylstilbestrol-injected immature hens."Poultry Science. 79・1. 94-98 (2000)
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[Publications] 吉村幸則: "獣区組織学"日本獣区解剖学会. 10 (1999)