1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子DNAの塩基配列を利用した双ロ吸虫の虫卵による種の鑑別
Project/Area Number |
10660278
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 助教授 (80203074)
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Keywords | 双口吸虫 / リボソームDNA / ITS2 / 虫卵 / 種の鑑別 / PCR-RFLP |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.形態学的には種の識別が困難な双口吸虫卵を遺伝子DNAの塩基配列から識別が可能であるか否かを明らかにすること、2.識別法として、より簡便なPCR-linked RFLP法を確立することである。本年度は2.についての実験を行ない、次の結果を得た。1.双口吸虫の虫卵から効率良くゲノムDNAを抽出する簡便法を検討するため、ボイル法、凍結融解法、アルカリ法の比較を行った。その結果、それぞれの方法を単独で実施した場合には虫卵からのゲノムDNAの抽出は一定せず、そのためPCRの増幅効率も不安定であった。その原因として卵殻の破壊が不完全であると考えられたため、第1に虫卵をホモジナザーで機械的に破壊した後に凍結融解-ボイル法を行ったところ、DNAの抽出、PCR増幅効率が改善された。2.双口吸虫虫卵1個から上述の方法で抽出したゲノムDNAを用いて、リボソームDNAのinternal transcribed spacer 2(ITS-2)領域のPCR増幅は可能であり、しかも次のRFLP解析に用いるのに十分な量の増幅産物が得られた。3.簡便なPCR-linked RFLP法を確立するためには、ゲノムDNAの抽出とその後のPCR反応を同一のチューブで行う必要がある。そこでPCR増幅が虫卵数によって影響されるかを明らかにするため、1〜10個の虫卵からDNAを抽出しPCRを行ったところ、虫卵数が3個以上になるとPCR増幅産物が減少し5個以上ではPCR増幅産物は得られなかったことから、一度に検査可能な虫卵数は4個まであることが分かった。また2種類の双口吸虫(C.calicophorum、O.streptocoelium)の虫卵がそれぞれ4個:0個,3個:1個,2個:2個の割合で含まれている場合でも、PCR-linked RFLP法で両種を識別できた。
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