2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラット,ウサギ,サル後部帯状皮質と視床との線維連絡の解剖学的解析
Project/Area Number |
10660279
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
柴田 秀史 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50145190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
靭負 正雄 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・認知行動学研究部門, 主事研究員 (20113491)
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Keywords | 後部帯状皮質 / 膨大後皮質 / 視床 / 視床前核 / 視床背外側核 / 視床枕核 / サル / ウサギ |
Research Abstract |
本年度は,ウサギでは,乏顆粒性膨大後皮質(29d野)から背側視床への投射の解剖学的構成をインゲン豆レクチン(PHA-L)の順行性軸索標識法により明らかにした.29d野吻側部は,内側前核吻腹側部に両側性に強く投射する.同側性には,腹側前核吻腹側部,背外側核と外側後核両者の腹内側部,前腹側核吻側部,および外側腹側核背側部に強く投射する.また,中心外側核にも同側性の弱い投射があった.29d野尾側部は,29d野吻側部と同様の視床核群に投射するが,視床前核群および前腹側核ではそれらの領域内のより吻側に,背外側核,外側後核,外側腹側核ではより背外側に投射することがわかった.以上の結果,ウサギでは,29d野の吻-尾方向は前核群の尾-吻方向に,また背外側核の腹内側-背外側方向に対応するように投射することがわかった. サルでは,前年度までに行なった後部帯状皮質を構成する23野,29野,30野の視床皮質投射と皮質視床投射解明のための実験をさらに進め,脳梁膨大腹側に位置する尾内側小葉と視床との線維連絡は,脳梁背側に位置する23野と類似することがわかった.さらに,神経細糸Hの非リン酸化エピトープに対する抗体(SMI-32)を用いて免疫染色を行なうと,尾内側小葉内のSMI-32陽性細胞および線維の分布は,脳梁背側に位置する23野と類似することがわかった.すなわち,尾内側小葉は,29/30野というよりも23野と類似の皮質領野からなることが示唆された. ウサギとサルにおいてもラットと同様に,これらの皮質と視床とを結ぶ投射経路は,識別性回避行動の学習や聴覚性の記憶といった記憶・学習の基盤をなす神経回路の一部であると考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shibata,H.: "Organization of retrosplenial cortical projections to the laterodorsal thalamic nucleus in the rat."Neuroscience Research. 38. 303-311 (2000)
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[Publications] Shibata,H.: "Organization of the projections from retrosplenial area 29d to the dorsal thalamus in the rabbit."Society for Neuroscience Abstract. 26. 1743 (2000)