1998 Fiscal Year Annual Research Report
母体慢性尿毒症下における胎子腎臓の発達に関する研究:成長因子と遺伝子の発現
Project/Area Number |
10660288
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡田 利也 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00169111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向本 雅郁 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80231629)
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Keywords | 母体片側腎臓摘出 / 胎子腎臓 / proliferating cell nuclear antigen / アポトーシス / epidermal growth factor / vascular endothelial cell growth factor |
Research Abstract |
本研究の目的は母体慢性尿毒症下での胎子の腎臓における細胞増殖とアポトーシスの発現ならびにそれらをコントロールする分子生物学的現象の変化を解明することである。本年度は母体片側腎臓摘出(UNx)時のラット胎子の腎臓の発達に関して以下の成績を得た。1.増殖期の細胞の核に出現するproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の局在を酵素抗体法により調べた。UNx胎子、対照胎子ともに退齢の進行とともにPCNA陽性細胞の出現率は減少した。母体UNxにより胎生22日齢胎子の成熟型腎小体でのPCNA陽性細胞の出現率は減少し、その変化は糸球体毛細血管内皮細胞で著明であった。2.血管内皮細胞に作用するvascular endothelial cell growth factorとそのレセプター(Flk-1)の局在と発現量の変化を酵素抗体法、半定量的RT-PCR法により調べた。Flk-1mRNAの発現は母体UNxによって減少した。3.TdT-mediated dUTR mick end labeling(TUNEL)法と電顕観察により母体UNxによるアポトーシスの変化を調べた。TUNEL陽性細胞は未熟な腎小体、間質、集合管に認められ、同じ領域に核濃縮像、DNA断片化細胞、アポトーシス小体が電顕的に観察された。母体UNxにより集合管におけるTUNEL陽性細胞は増加した。4.epidermal growth factorおよびそのレセプター(EGF-R)の局在を酵素抗体法により調べた。EGF-Rは未熟な腎小体、近位尿細管、集合管に認められ、母体UNxにより胎生22日齢胎子の近位尿細管でのEGF-Rの反応はやや強くなった。5.以上の結果より母体UNxによって胎子腎小体の発達が促進され、それにはVEGFが関連していることが示唆された。母体UNxによってアポトーシスが増加することと近位尿細管でのEGF-Rの反応が強くなることがわかった。今後、母体慢性尿毒症下での胎子腎臓の変化とinsulin-like growth factor-1、アポトーシスとEGFRとの関連、さらに発癌遺伝子の変化を明らかにする実験を計画している。
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[Publications] 岡田利也: "母体片側腎臓摘出による胎子腎臓の発達に対する影響:細胞増殖因子の関与" 第127回日本獣医学会講演要旨集. (印刷中). (1999)
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[Publications] Mistuoka,K.: "Effect of Maternal Uninephrectomy on the Development of Kidney in the Rat Proliferative Activity." Congenital Anomalies. 38・3. 314-314 (1998)