1999 Fiscal Year Annual Research Report
母体慢性尿毒症下における胎子腎臓の発達に関する研究:成長因子と遺伝子の発現
Project/Area Number |
10660288
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡田 利也 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00169111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向本 雅郁 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80231629)
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Keywords | 母体片側腎臓摘出 / 胎児腎臓 / insulin like growth factor1 / アポトーシス / epidermal growth factor receptor |
Research Abstract |
本研究の目的は母体慢性尿毒症下での胎子腎臓における細胞増殖とアポトーシスの発現ならびにそれらをコントロールする現象の変化を解明することである。本年度は母体片側腎臓摘出(UNx)時のラット胎子の腎臓の発達に関して以下の成績を得た。1.Insulin like growth factor-1(IGF-1)のmRNA量およびそのレセプター(IGF-1R)の局在を定量的PCR法および酵素抗体法を用いて調べた。IGF-1Rは腎小体、近位尿細管で認められたが、IGF-1mRNA量およびIGF-1Rの局在には母体UNxによる変化は認められなかった。2.連続切片を用いてアポトーシス細胞の局在をTdT-mediated dUTR nick end labeling(TUNEL)法により、epidermal growth factor receptor(EGFR)の局在を酵素抗体法により調べた。母体UNxにより集合管におけるTUNEL陽性細胞は増加し、その細胞のEGFRに対する反応は消失した。3.アポトーシスを抑制する遺伝子であるbcl-2のmRNAの発現量を定量的PCR法を用いて調べた。bcl-2 mRNAの発現は母体UNxによって減少した。4.発癌遺伝子(c-fos、c-jun)のmRNAの発現量を定量的PCR法を用いて調べた。c-jun mRNAの発現には変化は認められなかったが、c-fos mRNAの発現は母体UNxによって減少した。5.以上の結果より母体UNxによる胎子腎小体におけるアポトーシスの増加にはbcl-2の発現とEGFRの減少が、細胞増殖活性の減少にはc-fosの発現の減少が関与していることが示唆された。今後、母体慢性尿毒症下での胎子腎臓の変化と癌抑制遺伝子(p53、WT1)の変化を明らかにする実験を計画している。
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Research Products
(1 results)