1998 Fiscal Year Annual Research Report
マウス脾臓リンパ球におけるアクチビン/フォリスタチンの機能
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10660295
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 健司 理化学研究所, 動物試験室, 研究員 (50251418)
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Keywords | アクチビン / マクロファージ / MMP |
Research Abstract |
我々は、TGF-βfamilyに属する分化誘導因子であるActivinに着目して、その免疫担当細胞における発現と機能を検討している。本研究では、マウス腹腔内マクロファージ(Mφ)におけるActivinの発現と機能について検討した。 先ず、MφにおけるActivin関連タンパク質の発現をRT-PCRによって検討した結果、Mφはα subunitを発現せず、βA subunitおよびFollistatinのmRNAを発現する事が示された。従って、MφはInhibinを産生せず、Activinとその調節因子であるFollistatinのみを産生すると思われる。一方、MφはActivinを含む主要なTGF-βfamlliyタンパク質の受容体を発現して居り、ActivinはMφにおいてparacrineまたはautocrineで働く因子である可能性が示唆された。 次に、MφのActivin産生に対する炎症性刺激の影響をEDFassayを用いて検討したところ、LPS刺激はMφによるActivin活性の産生を濃度依存的に促進する事が明かとなった。このLPSによるActivin活性の促進効果は、mRNAの転写レベルで調節されている事が、定量的RT-PCR法によって示された。一方、強力な炎症抑制性サイトカインであるTGF-β1およびその受容体の発現はLPSによって抑制された。炎症性刺激であるLPSによってTGF-βよびその受容体の発現が抑制され、逆にActivinの発現および活性が促進されると云う事は、Activinが炎症に際して促進的に作用する可能性を示唆している。つまり、TGF-βfarmilyの中で、炎症に際する機能的な分業が行われている可能性が示された事になる。 更に、我々は、Mφのmatrix meta110proteinase(MMP)産生に及ぼすActivinおよびFollistatinの効果について、gelatinzymographyと定量的RT-PCR法を用いて検討した。その結果、LPS(100ng/ml)刺激の有無に拘わらず、MφによるMMP-2のmRNA発現および活性は、Activinによって促進され、逆にFollistatinによって抑制される事が明かとなった。一方、MφによるMMP-9発現および活性に対しては、ActivinおよびFo111statinの効果は認められなかった。 以上の結果から、Mφが産生するActivinは、paracrineまたはautocrineによってMφに働き、MMP-2の発現調節を介して、基底膜の分解や細胞の炎症局所への浸潤に働く因子である可能性が示唆された。
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