1998 Fiscal Year Annual Research Report
VBNC状態の菌体検出に基づく有機農法環境下でのリステリアの生態調査
Project/Area Number |
10660305
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
上野 弘志 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (60137411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 康和 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (50254701)
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Keywords | リステリア / VBNC |
Research Abstract |
目的 近年、多くの細菌種が自然界で“生きていても培養不能(VBNC)"な状態になることが知られてきた。この状態の菌は、DNA合成阻害剤と適当な栄養素の下で、発育するが分裂出来ないため、長く伸びた菌体として顕微鏡で観察できる。リステリアも自然界でVBNC状態になる可能性が高いが、本菌ではその検出条件さえ殆ど不明である。今回著者は、実験的にリステリアがVBNC化する条件を検討した。 材料と方法 1b型のL.monocytogenes1菌株とLevofloxacin(LVFX)を使用した。BHIブロスで静止期まで培養した菌液を、同培地で希釈し、(10^4cfu/ml)、LVFX(ブロス1ml中0.78、0.55、0.39、0.28μgと無添加)添加後、37℃で24時間培養した。培養中、4時間毎に菌液をギムザ染色した。薬剤無添加の菌体100個の長さを測り、その平均値の3倍以上の長さの菌体をVBNC菌体とした。LVFXを含む菌液中の菌体は100個以上観察し、VBNC菌体数を数えた。 結果 薬剤無添加の菌液には、VBNC菌体は殆ど認められなかった(4,8時間目にのみ1%未満出現)0.28から0.55μgの・薬剤添加菌液では、どの時間にもVBNC菌体が認められた。その出現率は、1時間目に最も高く、0.28、0.39および0.55μg添加液で、それぞれ11,22および29%だった。この率は8時間目多少減じ(0.28、0,39および0.55μgで、それぞれ9、20および18%)、12時間目以後著しく減少した(0.28、0,39μgで1%未満、0.55μgでは2〜12%)なお、使用菌のMIC値は0.78μgであり、その濃度添加された菌液でのVBNC菌体の出現率は低く、8時間目の5%が最高だった。 考察 今回の実験で、L.monocytogenesがLVFX存在下でVBNC化することが明らかとなった。その状態を引き起こすLVFXの濃度および菌体との接触時間は、MIC値の50〜70%、4〜8時間が適当と判断でき、本菌のVBNC化の条件が決定できた。
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