1999 Fiscal Year Annual Research Report
VBNC状態の菌体検出に基づく有機農法環境下でのリステリアの生態調査
Project/Area Number |
10660305
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
上野 弘志 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (60137411)
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Keywords | VBNC / Listeria monocytogenes |
Research Abstract |
自然界では低栄養下の細菌が代謝活性はあっても分裂できない(VBNC)状態になることがある。この現象は、ナリジク酸の感受性を利用してグラム陽性菌で知られてきたが、グラム腸性菌のそれについての知見は乏しかった。昨年著者は抗生物質としてレボフロキサシンを用いてVBNC化したListeria monocytogenesの検出条件を定めた。今回は、実験的に本菌の遭遇しうる環境状態を設定し、その条件下での本菌のVBNC化を観察した。また、その菌の酵素抗体法による検出方法も検討した。 材料と方法:L.monocytogenes4b菌1株を使用した。デントコーン畑の土壌の水溶液1ml当り静止期の生菌数が約10^6個になるように浮遊し、4℃または0℃に40日間設置し、その間定期的に生菌数、総菌数とVBNC化した菌数を測定した。その菌液は60℃で30分間加熱後、および紫外線照射15分間後にも、上記同様の測定を行った。 結果と考察:4℃では、VBNC化した菌体は設置時間が長期化する程検出率が高まった(40日目に1.5から5%)。この間の生菌数、総菌数はほぼ一定であり、1ml当りの菌数は、それぞれ4×l0^5から2×l0^6、および2×l0^6から3×l0^6の範囲にあった。また、0℃に設置した菌でもほぼ同様の結果が得られた。即ち、本菌は土壌の如き低栄養状熊でかつ低温下でVBNC化することが示唆された。一方、加熱処理後あるいは紫外線照射後にはVBNC化した菌体は認められなかった。菌液をホルマリンで固定後に、ペルオキシダーゼ標識した抗リステリア抗体で37℃、30分間反応させ、発色基質としてTMBを2分作用させることでリステリアを特異的に染色できた。即ち、この染色条件で大腸菌など他の細菌は染色されなかったため、雑菌の多い白然界でのリステリアの発見が可能と判断できた。
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