1999 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス資源の高度利用-高付加価値化された植物タンパク質を利用した環境浄化-
Project/Area Number |
10660314
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
久保 幹 立命館大学, 理工学部, 助教授 (60249795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮実 文彦 沼津高専, 物質工学部, 助教授 (90164805)
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Keywords | バイオマス / 植物成長活性化因子 / ペプチド / Bacillus circulans / Streptomyces sp. |
Research Abstract |
《植物成長活性化因子の特定》 前年の研究を受けて,植物成長活性化因子の特定を試みた.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ゲル濾過において,植物タンパク質分解物(DSP)のクロマトパターンを明らかにし,活性画分を決定した.同様に,陰イオン交換クロマトグラフィーを行い,非吸着画分に活性画分が存在することも明らかにした.最終的に,両クロマトグラフィーを併用することにより,植物成長活性化因子をシングルピークにするまで精製した.本成分は,ペプチド性であり,10前後のアミノ酸から構成されているものと考えられた. 《放線菌による植物タンパク質分解》 同様に,自然界から大豆タンパク質を効率よく分解する放線菌を分離した.本放線菌は,先のBacillus circulans HA12よりは分解速度は遅いものの,DSP同様に植物成長活性化効果を有していた.本放線菌を同定したところ,Streptomyces sp.と同定された.本菌株は5%大豆粕を効率よく低分子化し,DSPとは異なるゲル濾過クロマトパターンを示した. 《フィールド実験》 大量生産により得られたDSPを昨年度と同様にフィールドで植物成長試験を行った.試験植物の種類を増やした結果,ジャガイモ,トマト,キュウリ,高菜,西瓜,ホウレンソウに顕著に成長効果が確認された.これらの結果,DSPは植物種に非特異的に作用することが明らかになった. 《課題および今後の予定》 成長活性化因子の特定については,N-末端アミノ酸解析を行い,アミノ酸の同定を行う.また同時に分子量を決定し,その構造を明らかにすることを最終の課題とする.構造が明らかになれば,ペプチド合成を行い,結果の裏付けをとると共に,植物成長活性化メカニズムの解明を目指す.
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[Publications] M.Kub and M.Murakami: "高濃度廃水処理システムの開発"Machinery & Equipment for Food Industry. 36. 94-100 (1999)
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[Publications] 久保幹: "土壌環境と微生物 -土壌微生物の解析-"生物工学会誌. 77. 478-478 (1999)
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[Publications] M.Kubo et al.: Lett.in Applied Microbiol.. 28. 431-434 (1999)
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[Publications] 蓮実文彦 et al.: "糸状菌C.polymorphaを用いた染色工場廃水の清澄化"繊維学会誌. 55. 485-497 (1999)
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[Publications] 久保幹,新川英典,蓮実文彦: "バイオテクノロジー 基礎原理から工業生産の実際まで"大学教育出版. 332 (1999)