1999 Fiscal Year Annual Research Report
エポキシ環を有するシャクガ科昆虫性フェロモンの生産制御と受容機構の解明
Project/Area Number |
10660315
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
安藤 哲 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (50151204)
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Keywords | フェロモン / 性フェロモン / 燐翅目昆虫 / シャクガ / 受容体 / レセプター / 結合タンパク質 / PCR |
Research Abstract |
フェロモン結合タンパク質(Pheromone Binding Protein,PBP)は、雄蛾のアンテナの感覚子液中に存在し、脂溶性てある性フエロモン分子を受容体まで運搬する働きを持つといわれている。これまでPBPは、カイコガなど10種程の鱗翅目昆虫から同定されている。それらのPBPは性フェロモンに特異的に結合することが示唆されたが、その特異性に関する情報は未だ十分でない。ところで、シャクガ科昆虫などで雌雄間のコミュニケーションに、カイコガのフェロモンとは異なる末端官能基のないエポキシアルケンが利用されていることが解ってきた。本研究では、茶の害虫であるヨモギエダシャクのアンテナ中に存在するPBPの結合特異性を明らかにすべく、まずそのアミノ酸配列の決定を目的にPBP遺伝子の探索を行った。 約100頭分の雄蛾のアンテナからmRNAを抽出し、逆転写によってcDNAを得た。このcDNAを鋳型として、既知のPBPのアミノ酸配列の相同性をもとに設計したプライマーを用いたPCR法を行った。その結果PBPの部分構造を含むDNA断片を得、塩基配列の決定を行った。その塩基配列に対応しアミノ酸66残基からなる一次構造について検討したところ、他のPBPにおいて特徴的とされる6つのシステイン残基のうち3つが含まれていることが明らかになった。また、カイコガのPBPの部分構造と約48%の相同性が認められ、特にフェロモン結合部と考えられている疎水ドメインにおいて顕著であった。今後5'および3'RACE法を用いて、PBPをコードしているmRNAの全塩基配列を決定し、一次構造を解析する予定である。
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