1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓特異的転写因子ネットワークの肝細胞分化の決定機構
Project/Area Number |
10660316
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 裕昭 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20204208)
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Keywords | 肝細胞 / 初代培養 / 細胞外マトリクス / 細胞形態 / 肝臓特異的転写因子 / HNF-4 / EHS-gel |
Research Abstract |
HNF-4遺伝子プロモーター解析(肝臓特異的転写因子間ネットワーク) 本研究が始まる以前にHNF-4遺伝子プロモーターにHNF-6が結合し、機能的に制御することを示してきたが、詳細な解析はされてこなかった。HNF-4遺伝子プロモーターのどの部位がHNF-6による転写活性可能に重要であるかを検討するため、HNF-4遺伝子プロモーターの長さの異なる変異体を用いて検討を行った。HNF-6結合部位はほとんどHNF-6の転写活性に影響を及ぼさず、以前と異なる結果を得たが、HNF-6結合部位にHNF-6が結合するだけではHNF-4遺伝子の転写をあまり亢進しないことが明らかとなった。しかし、HNF-6による転写活性化には、HNF-6が結合しない-0.8kbから-1.5kbの配列が必要であることが分かり、HNF-6の転写活性可能を助ける因子がHNF-6と相互作用している可能性が示唆された。 細胞形態応答シス調節配列の決定 立体的細胞形態情報がHNF-4遺伝子に伝わることが分化表現型を維持するのに重要であることを見いだしてきた。細胞形態を人為的に変えることは細胞外マトリクスを工夫することで比較的簡単に実施できるが、いったん扁平になった細胞を球形にしたり、球形細胞を扁平にするなどの細胞の継代は簡単ではなかった。細胞形態の情報が微小管を必要とする経路によって伝達されていることに注目し、微小管の重合阻害剤の有無により細胞形態を変化させずに、細胞形態の情報が伝わる場合とそうでない場合を再現できる系の確立を試みた。微小管重合阻害剤であるコルヒチンを添加して、いったん低下したHNF-4遺伝子発現を、コルヒチンを除去することにより再び誘導できることが明らかとなった。現在、この初代培養肝細胞へ、バキュロウイルスを用いた遺伝子導入法によりHNF-4遺伝子プロモーターをルシフェラーゼをつないだDNAの導入を試みている。
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