1999 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓特異的転写因子ネットワークの肝細胞分化の決定機構
Project/Area Number |
10660316
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 裕昭 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (20204208)
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Keywords | 肝細胞 / 初代培養 / 細胞外マトリクス / 細胞形態 / 肝臓特異的転写因子 / HNF-4 / EHS-gel |
Research Abstract |
HNF-4遺伝子プロモーター解析(肝臓特異的転写因子間ネットワーク) HNF-4遺伝子プロモーターにJunが結合し、転写の活性化を引き起こすことが明らかとなった。ラット初代培養肝細胞において、増殖刺激に伴いHNF-4遺伝子発現が増強されることから、MAPキナーゼの一つであるJNKによりHNF-4遺伝子発現が増強される可能性が考えられた。ラット初代培養肝細胞のJNKを活性化したところ、HNF-4の顕著な誘導は見られず、JNKの関与に関してさらに検討する必要がある。一方、もう一つのMAPキナーゼであるERKによっては抑制されることが明らかとなった。 細胞形態応答シス調節配列の決定 微小管重合阻害剤であるコルヒチンを添加して、いったん低下したHNF-4遺伝子発現を、コルヒチンを除去することにより再び誘導できることが明らかとなった。コルヒチンの除去後、数時間で急激なHNF-4遺伝子発現の誘導が見られた。初代培養肝細胞への遺伝子導入は容易ではないが、バキュロウイルスを使った導入法を確立したので、今後HNF-4遺伝子の細胞形態応答シス配列を決定する。細胞形態に対する応答は、これまで調べた全ての樹立肝細胞で失われており、癌化に伴い失われる機能と考えられてきた。遺伝子導入株の樹立には株化細胞が必要であり、応答細胞の検索を行ったところ、日本で開発されたヒト肝細胞株FLC-4細胞とFLC-7細胞が細胞形態への応答能を維持していることが明らかとなった。これらの細胞でもHNF-4が形態に応答して変化することが明らかとなった。ヒト肝細胞の応用も視野に入れ(人工肝臓など)、遺伝子導入を行い細胞応答シス配列ならびにトランス因子を同定する。
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