1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670003
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 皓 山形大学, 医学部, 教授 (80004662)
|
Keywords | 卵巣 / 卵胞果粒層細胞 / 排卵 / 閉鎖卵胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、排卵に向かう成熟卵胞と閉鎖する卵胞との決定的な構造上の違いを、形態学的に解明しようとするもので、研究計画1年目の今年度はこれまでのところ、以下の結果を得ている。 1. マウスの卵胞閉鎖過程に、マクロファージが関与するか。 未成熟マウス卵巣において、さまざまな成熟過程の卵胞にアポトーシス細胞の発現が認められ、原始卵胞および未熟な一次卵胞を除く卵胞に閉鎖が起こり得ることを確かめた。一方、発情期の成熟マウスにみられる卵胞にも、さまざまな程度に進行した閉鎖卵胞が認められた。以上、さまざまな閉鎖段階の卵胞を形態学的に観察した結果、アポトーシスに陥った果粒層細胞を隣接する正常な同細胞が貪食することによって卵胞を退縮させ、閉鎖することを確認した。 マウス卵巣を形態学的に観察する限り、卵胞の閉鎖にマクロファージが関わることを指示する形態的所見は得られなかった。 2. 自然周期の成熟マウス卵巣において、排卵直前の成熟卵胞にアポトーシスは発現するか。 準超薄運続切片法により排卵直前の成熟卵胞を観察した結果、果粒層細胞に極めて少数ながらアポトーシスが発現しており、その発現頻度は全果粒層細胞の0.1%程度であることを明らかにした。 3. 排卵に向かう成熟卵胞と閉鎖卵胞の形態学的特徴 排卵に向かう成熟卵胞は、その直径が0.5mm以上まで発育し、果粒層細胞が孤立化し、卵胞周囲を覆う毛細血管網が発達していた。さらに、閉鎖卵胞に比較し、アポトーシス発現頻度が明らかに低いことが決定的に違いであることを確認した。 本年度の研究成果は、学会で発表済みであるが、一部投稿中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 井上聡子: "マウス卵胞の閉鎖機構-性周期開始に伴う変化- 要旨" 解剖学雑誌. 73・4. 437 (1998)
-
[Publications] 井上聡子: "マウス卵胞の閉鎖機構-変性した卵母細胞の運命- 抄録" 日産婦誌. 50. 476 (1998)
-
[Publications] 大島千佳: "性周期に伴う内生殖器の形態的変化" 日本看護研究学会誌. 21・3. 233 (1998)
-
[Publications] 大島千佳: "マウス成熟卵胞におけるアポトーシスの出現頻度 地方会抄録" 解剖学雑誌. 73・6. 712 (1998)