1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670017
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
州崎 悦子 広島大学, 医学部, 助手 (10274052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
|
Keywords | ゴルジ装置 / 直接3D観察法 / レクチン細胞化学 / 三次元構造 / 胃粘膜 / 十二指腸腺 |
Research Abstract |
私達はこれまで細胞内分泌装置の中心的役割を担うとされるゴルジ装置の立体構造を明らかにすることを試みてきた。その結果、マウス十二指腸腺細胞においてゴルジ装置は従来示されてきた一般構造とは異なりドーム構造をもつことを明らかにした。そこで、より多種類の細胞においてゴルジ装置の立体構造を明らかにするため、最も簡便な三次元観察法である直接3D観察法を導入し検討を進めた。本法は、単に接眼レンズを覗くだけで蛍光立体像を得ることができるというものであり、6μ厚の組織切片を蛍光標識レクチンで染色し100倍の対物レンズで観察したところ、個々の細胞のもつ立体感やその中に存在する小器官の空間的配置を実感できる優れた方法であり、通常の顕微鏡では得ることのできない立体的な像を得られる有用性の高い方法であることが確認された。 この観察法を用いて、十二指腸腺細胞や胃粘膜の外分泌細胞(表層粘液細胞・副細胞・主細胞)におけるゴルジ装置の立体構造の観察を行ったところ、これまでに得た結果を支持するドーム構造であることが確認された。副細胞のように小さな細胞内に多量の分泌顆粒を含む場合には複雑に入り組んだ構造が観察されることも多いが、顆粒の量が少ない幼若な細胞ではドーム構造を維持していた。このことは、ゴルジ装置の基本型はドーム構造であり、作られる分泌顆粒の量によって変化が生じることを示唆していた。 またゴルジ装置のドーム構造を支えている骨組みとなっていることの示唆される細胞骨格要素として、微小管の細胞内分布についても観察を進めた。微小管が繊細な線維として観察されたが、線維構造の場合には特に、通常の観察法では得られない立体的な線維の走行を実感することができ、非常に有用な観察法であると考える。微小管によってゴルジ装置が支えられており、形成された分泌顆粒の輸送にも微小管がレールの役目を果たすことの示唆される走行であった。 今後は二重染色を行ったサンプルの直接3D観察を試みていく予定である。
|
Research Products
(2 results)